<久我の100曲> 『ナイト・アフター・ナイト』U.K.

聴くたびに感動して、胸が熱くなる曲があります。

ロック魂を揺さぶられる」、と言いましょうか。

英国のプログレシブ・ロック・バンドUK」が、1979年に来日し、残したライブ・アルバム。

その冒頭を飾るタイトル曲、 「ナイト・アフター・ナイト」です。

開演を待ちかね熱狂した聴衆が、手拍子と共に「UK! UK!」と連呼する中、突然、切り込むようなイントロが噴出!

まさに「脳天杭打ち」そのものの太いリズムで、行進が始まります。

ポリフォニック・シンセサイザーのファンファーレを掲げながら、地を這うベース。

そして、それらを、若きドラマー、テリー・ボジオが支えます。

英国で生まれたプログレシブ・ロックも、当時は、すっかり下火になっていました。

「UK」は、その名のとおり、「大英帝国/United Kingdom」が世に問う、プログレ最後の切り札。ビル・ブラッフォードアラン・ホールズワース、キーボードとバイオリンのエディー・ジョブソン、ベースのジョン・ウェットンという、まさにプログレ界の重鎮4人により、1978年に結成されたスーパー・グループでした。

ところが、ファースト・アルバムを出したところで、ブラッフォードとホールズワースの二人が脱退してしまいます。

残された二人が、助っ人を頼んだのが、必殺仕事人テリー・ボジオ。

時は1979年、5月から6月にかけ、東京、大阪、名古屋で行われた全5公演。その、伝説の「U.K.初来日」を収めたライブ。

すべてはこの一曲のためにあったといっても良いでしょう。

刀折れ、傷つきながら、たった三人で支える「大英帝国」のたそがれ。その、最後の残り火を振り絞るように、ボジオが全てのエネルギーを注ぎ込みます。これから長いライブが始まるなんてことは一切おかまいなし。持てるすべてのエネルギーを、スネアの一打、タムの連打、キックの殴打、シンバルの激打に注ぎ込みます。

これぞ、「入魂のドラミング」!

会場の興奮も一気に頂点へ。

そして忘れちゃならい、故ジョン・ウェットンの「君たち最高だよ」!

ううう、目頭が・・・・・・。

時に大仰とも、時代錯誤とも言われたプログレシブ・ロック。しかし、ここで展開される音楽の持つ「真正面からの熱さ」は、ジャンルを超え、時代を超えて不変だったのではないでしょうか。

 

一説によると、この日本公演があまりにもウケちゃったので、エディ・ジョブソンが勘違いをおこし、しまいにはどんどん独裁色が強まってしまったという。

そして、大英帝国の最後の残り香も崩壊してしまったのでした。

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