ミニット・バイ・ミニット / ドゥービー・ブラザーズ

img_591241_44937683_0ドゥービー・ブラザーズは、大きく路線変更したバンドです。

デビューは1971年。

トム・ジョンストンとパット・シモンズのギターとヴォーカル、ツイン・ドラムでブンブン飛ばしまくる、カリフォルニアの「元気印」といったところでした。

なにしろ、『ドゥービー兄弟(=マリファナ兄弟)』なんですから・・・。

「リッスン・トゥ・ザ・ミュージック」、「ロング・トレイン・ランニン」など、軽快で野性味あふれるヒット曲を連発し、1975年には「ブラック・ウォーター」で全米1位を獲得します。

当時のドゥービー・ブラザーズの「イケイケぶり」を想い出してみましょう。

1973年の「チャイナ・グローブ」です:

ところが、その後トム・ジョンストンが体調を崩し脱退。一方、スティーリー・ダンを経由してマイケル・マクドナルドとジェフ・バクスターが参加します。

すると突然、ドゥービー・ブラザーズは、洗練された都会派グループに大きく変身してしまうんです。むさ苦しい長髪のパット・シモンズが、おしゃれなスーツ姿に改まったりして、まさに全員が都会派に衣替えです。

マイケル・マクドナルドは、R&Bに深く傾倒した個性的なスモーキー・ヴォイスの持ち主。スティーリー・ダンのサポート・メンバーとして注目され、1976年のドゥービー・ブラザーズの加入第一作「ドゥービー・ストリート」では、曲作りの面でもスティーリー・ダン的な新風を吹き込み、大きく貢献したんです。

新生ドゥービー・ブラザーズの打ち立てた金字塔が、1978年のアルバム「ミニット・バイ・ミニット」です。5週連続全米1位。300万枚突破。グラミー賞(ベスト・ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス)受賞。

中でも、その魅力を決定づけたのは、シングル・ヒット「What A Fool Believes/ある愚か者の場合(しかしヘンな邦題だなー・・・)」。

マイケル・マクドナルドとケニー・ロギンスの共作による、とても愛らしいポップ・チューン。複雑なシンコペーションの洗練されたアレンジに、リトル・フィートのビル・ペインがカラフルなシンセサイザーを添えました。全米1位、100万枚突破の大ヒットとなり、1979年グラミー賞レコード・オブ・ザ・イヤーも受賞。

ほかにも、「ミニット・バイ・ミニット」「ディペンディン・オン・ユー」のトップ40ヒットも生まれ、まさにメガ・ヒット・アルバムとなりました。

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ドゥービー・ブラザーズはその後1980年、「ワン・ステップ・クローサー」というアルバムを出していったん解散。マイケル・マクドナルドは、ソロとして着実なキャリアを歩んで行くのは皆さんよくご存知のとおりです。。

ところが、ここからが面白い!

ドゥービー・ブラザーズは1989年、アルバム「サイクルズ」で再結成するんですが、これにはマイケル・マクドナルドでなくトム・ジョンストンが返り咲き、初期のイケイケ・サウンドに戻ってしまったんです。

原点回帰というか、みんなきっと無理して都会派やってて、つらかったんだろうなー。

バンドの売れ行き自体はめっきり落ちちゃったんですけれど、メンバー全員が本来大好きなサウンドにもどれて、なんだかイキイキしています。

彼らはその後も元気に「イケイケ」の道を極めて行くのでした。

まあ結局、「三つ子の魂百まで」と言いますか、無理は長続きしないってことなんですね、やっぱり・・・。