アース・ウィンド&ファイアー

la-et-earth-wind-and-fire-maurice-white-career-005-thumbnailアース・ウィンド&ファイアーの主柱モーリス・ホワイトの逝去に際し、あらためて、この偉大なグループの足跡に想いを馳せたいと思います。

アース・ウィンド&ファイアーは1971年、モーリス・ホワイトに率いられデビューしました。

以降、それまでのブラック・ミュージックの領域を大きく超えて活動し、世界中で大ヒットを連発。CD・レコードの総売上9000万枚以上。グラミー賞6回受賞。2000年ロックの殿堂入り。何度かの活動停止とメンバー交代を経ながら、現在も活動中です。
 
全盛期のアース・ウィンド&ファイアーは、ほんとうに凄みがありました。
 
それはいつ頃なのか、というのは諸説あると思いますけれど、筆者は特にその比較的初期、アースがまさに快進撃を遂げていた頃を懐かしく思います。

1975年、アース・ウィンド&ファイアーはついに全米ナンバー・ワン・ヒット「シャイニング・スター」を放ちます。グラミー賞のベストR&B部門受賞。同曲をフィーチャーしたアルバム「暗黒への挑戦/That’s the Way of the World」はアルバム・チャート3週間首位。トリプル・プラチナムに輝きます。

それではお聞きください。「シャイニング・スター」!:

この頃のアース・ウィンド&ファイアーに対するファンの熱狂ぶりは、同年発表されたライブ・アルバム「灼熱の饗宴 / Gratitude」に克明に記録されています。同アルバムも全米1位、トリプル・プラチナム達成。

冒頭を飾る「太陽の女神 / Sun Goddess」をお聞きください。アル・マッケイによる切れ味バツグンなギターを聴いただけで、今でも鳥肌が立ってしまいますね。

当時のアースの魅力を整理してみると:

  • R&Bというより、むしろジャズ、ロックなどをベースとする、ブラック・ミュージックとしてはユニークなアプローチ。ソウル/ファンクというよりフュージョン?(16ビートよりむしろ8ビートを強く感じるのはフレッド・ホワイトのドラムのせい?)
  • 全体にみなぎる、ルーツとしてのアフリカン・パワー(民族楽器カリンバが重要なアクセントに)。
  • 知的で高度な音楽水準。粘っこいファンクから、突然ジャジーで洗練した展開を遂げる快感。
  • 驚異的にタイトでシャープなリズム隊とホーン・セクション。機械でなく人力による合奏の限界?
  • そして、圧倒的に素晴らしいモーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーのヴォーカル二枚看板。

 
まあ、ひとことでいうと、「めちゃ熱いのに、やたらクール!」ということだったんじゃないかと思います。
 
そういう意味でも、1976年のアルバム「魂 / Spirit」は、アースの音楽性が最も高いレベルで凝縮した作品として、記憶されるべきでしょう。アルバム・チャートの首位こそのがしましたが、2週間全米2位を記録。ダブル・プラチナ。筆者は、「アースの中でどうしても一枚選べ」と言われたらこれです。

特に、シングルにもなった「ゲッタウェイ/ Getaway」。ひたすら前に、「リズムを食いながら」進んでいく切れ味は、ほかのどのブラック・ミュージックとも異なる画期的なものでした。

それでは、どうぞ!:

ところが、人気絶頂となったアースが、自ら「黒人のビートルズ」などと言い始めたあたりから、どうもおかしくなって行くんです。

1977年の「太陽神 / All ‘N All」からは「宇宙のファンタジー」が大ヒット。さらに、1979年の「黙示録 / I Am」では「ブギー・ワンダーランド」がディスコで大ウケとなりました。

ライブ・ステージは、ピラミッド・パワーを売り物にしてますます大掛かりに、マジック・ショーのようになってしまいます。1979年の武道館での来日ステージは、ほとんどサーカスでした・・・。

デヴィッド・フォスターとジェイ・グレイドン作曲の「アフター・ザ・ラヴ・イズ・ゴーン」は全米2位、ゴールド・ディスクを獲得。AOR的というか、どんどん「白人的」な感じにもなっていくアースのアプローチには賛否両論ありました。

そして、1981年の全米3位「レッツ・グルーブ」を最後に、アース・ウィンド&ファイアーは突然、坂を転げ落ちるように失速してしまうんです・・・。

ヒットを連発することによる全能感。そして、いつしか狭いジャンルを乗り越えて、全てを飲み込むような巨大な存在になり得ると錯覚していく大スター・・・?。

そんな「罠」に、モーリス・ホワイトとアース・ウィンド&ファイアーもはまってしまったんでしょうか?。

スティーヴィー・ワンダーもかつてそんな感じだったように・・・?。そして、マイケル・ジャクソンの運命とも、どこか重なるような・・・?。

なぜかそういう「失速」のパターンにはまるのは、ブラック・ミュージックのアーティストに多いように思われるのは筆者だけでしょうか?

尚、そんな中でも、アルバム「黙示録」の冒頭を飾る「石の刻印/In The Stone」は、往年のアース・ウィンド&ファイアーのフル・パワーが感じられる大名曲でしたね:

さて1987年、みんなアースの名前も忘れたころ、心機一転の新作アルバム「タッチ・ザ・ワールド」がリリースされました。

政治的メッセージを取り入れたりして、なかなか骨のある佳作でしたけれど、これも結局、残念ながら売れませんでした。

そうこうしているうちに、モーリス・ホワイトも病に倒れ、引退を余儀なくされてしまったのです。

それでは、アース・ウィンド&ファイアーの最後の力作「タッチ・ザ・ワールド」より、「システム・オブ・サバイバル」。モーリス・ホワイトの現役時代最後の勇姿も拝めます:

いずれにしても、ブラック・ミュージックの地平線を大きく広げ、人種・国籍を超えるところまでポピュラリティーを拡大したアース・ウインド&ファイアーの功績は、永遠に不滅です
 
モーリス・ホワイトよ、そしてアース・ウインド&ファイアーよ永遠なれ!
 

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