オランダのアムステルダム国立美術館で開催中のフェルメール展に行ってまいりました!
現存する絵画の数が37とされるフェルメール。その内、今回なんと28もの作品が一堂に会するというのですから話題沸騰。開催は6月4日まで。チケットは発売3日で完売したそうです。
これは、『フェルメール全作品踏破』を目指すわたくしにとっても見逃せない機会ということで、万象繰り合わせて現地に飛びました。(ちなみにわたくしは、これまで34のフェルメールを見て来ており、全踏破まであと一歩。今回はじめて見るのは後述の一作品のみでした。)
レンブラントやゴッホなど、オランダの至宝を多数有する同美術館ですが、今回はまさにフェルメール一色。常設するフェルメール4作品に加え、世界中の美術館より借り受け、史上最大のフェルメール展を実現。フェルメールの故郷であるオランダの、まさに国家の威信をかけたプロジェクトと言えましょう。
館内はシンプルかつモダンなデザインで、テーマに沿って淡々と、それぞれの絵画が展示されています。入場は予約制ですので大きな混雑もなく、ゆっくりとフェルメールを堪能することができました。
さて、わたくしにとって今回の目玉はコレ、『ヴァージナルの前に座る若い女』であります。
これは2004年、ラスベガスの富豪が32億円で落札して以降、なかなか見ることができなかったのですが、追ってニューヨークのライデン・コレクションが入手してから状況が一変、今回の出展にも繋がりました。
この絵は、フェルメールの作品の中ではもっとも近年に真作と認定された一枚。長らく真贋論争にさらされ、90年代に徹底的に鑑定調査を行った結果、ようやく「ホンモノ」と認定されたものなんです。
なるほど確かに、「これってフェルメールか?」って想わせるところもありますよね。
なにしろ、鍵盤楽器を奏でる女性をシンプルに描いただけで、ここには、あのフェルメール意匠の奥行きある室内構成や、光のマジックといった要素が決定的に欠けています。
さらに、「フェルメールほどの優れた芸術家が、彼のトレードマークである女性をこれほど無愛想な顔で描くとは信じられない」といった意見もあるほど。今でも「反対派」が存在するようです。
まあ、それにしても見ることができてホッとした・・・。
さて、ということで、これでわたくしの全踏破まで、いよいよあと2作品に迫りました!
ちなみに、残るその2作品とは:
- 合奏(イザベラ・スチュアート・ガードナー美術館 ボストン)
- 二人の紳士と女(アントン・ウルリヒ公美術館 ブラウンシュヴァイク)
この内、なんと『合奏』は1990年に盗難され、以降、行方不明。今のことろ見るのは不可能なんですね。
ということで、もうひとつの『二人の紳士と女』さえ見れれば、一応、実質「全踏破」と言えるんじゃないかと思うんですけれど。このアントン・ウルリヒ公美術館ってのがドイツのど田舎にあって、なかなか簡単に行けないんですよねー。さあ、どうしよう・・・(それにしても、なんでコレ、今回アムステルダム美術館に来てくれなかったんだろう?近いのに・・・)
ということで、もうひとつの『二人の紳士と女』さえ見れれば、一応、実質「全踏破」と言えるんじゃないかと思うんですけれど。このアントン・ウルリヒ公美術館ってのがドイツのど田舎にあって、なかなか簡単に行けないんですよねー。さあ、どうしよう・・・(それにしても、なんでコレ、今回アムステルダム美術館に来てくれなかったんだろう?近いのに・・・)
ということで、わたくしの「フェルメール全作品踏破の旅」は、これからも続くことになりそうです。
最後に、フェルメール全作品と今回の展示作品(◎印)の対照表です:
作品名 | 制作年 | 美術館 | ||
---|---|---|---|---|
ディアナとニンフたち | 1653-54頃 | マウリッツハイス美術館 | ◎ | |
マリアとマルタの家のキリスト | 1654-56頃 | スコットランド国立美術館 | ◎ | |
聖プラクセディス | 1655 | 国立西洋美術館、東京 | ◎ | |
取り持ち女 | 1656 | ドレスデン国立美術館 | ◎ | |
眠る女 | 1656-57 | メトロポリタン美術館 | ||
士官と笑う娘 | 1657頃 | フリック・コレクション | ◎ | |
窓辺で手紙を読む女 | 1657頃 | ドレスデン国立美術館 | ◎ | |
中断された音楽の稽古 | 1658-59頃 | フリック・コレクション | ◎ | |
紳士とワインを飲む女 | 1658-60頃 | ベルリン国立美術館 | ◎ | |
小路 | 1658頃 | アムステルダム国立美術館 | ◎ | |
二人の紳士と女 | 1659-60頃 | アントン・ウルリッヒ美術館 | ||
デルフトの眺望 | 1660-61頃 | マウリッツハイス美術館 | ◎ | |
牛乳を注ぐ女 | 1660頃 | アムステルダム国立美術館 | ◎ | |
リュートを調弦する女 | 1662-63頃 | メトロポリタン美術館 | ◎ | |
青衣の女 | 1662-63頃 | アムステルダム国立美術館 | ◎ | |
音楽の稽古 | 1662-65頃 | イギリス王室コレクション | ||
水差しを持つ女 | 1662頃 | メトロポリタン美術館 | ||
天秤を持つ女 | 1664頃 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ◎ | |
真珠の首飾りの女 | 1664頃 | ベルリン国立美術館 | ◎ | |
赤い帽子の女 | 1665-66頃 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ◎ | |
少女 | 1665-67頃 | メトロポリタン美術館 | ||
フルートを持つ女 | 1665-70頃 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ◎ | |
合奏 | 1665頃 | イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館 | ||
手紙を書く女 | 1665頃 | ワシントン・ナショナル・ギャラリー | ◎ | |
真珠の耳飾の少女 | 1665頃 | マウリッツハイス美術館 | ◎ | |
婦人と召使 | 1666-67 | フリック・コレクション | ◎ | |
絵画芸術 | 1666-67頃 | ウィーン美術史美術館 | ||
天文学者 | 1668 | ルーヴル美術館 | ||
地理学者 | 1669 | シュテーデル美術館、フランクフルト | ◎ | |
レースを編む女 | 1669-70頃 | ルーヴル美術館 | ◎ | |
恋文 | 1669-70頃 | アムステルダム国立美術館 | ◎ | |
信仰の寓意 | 1670-72頃 | メトロポリタン美術館 | ◎ | |
ヴァージナルの前に立つ女 | 1670-72頃 | ナショナル・ギャラリー,ロンドン | ◎ | |
ヴァージナルの前に座る女 | 1670-72頃 | ナショナル・ギャラリー,ロンドン | ◎ | |
手紙を書く婦人と召使 | 1670頃 | アイルランド国立美術館 | ◎ | |
ギターを弾く女 | 1670頃 | ロンドン、ケンウッド・ハウス | ||
ヴァージナルの前に座る若い女 | 1670頃 | ライデン・コレクション、ニューヨーク | ◎ |
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