「グランド・ブタペスト・ホテル」で完全に参っちゃって以来、ウェス・アンダーソン監督の作品は全部漏れなく見たのですが、今度の新作が「アニメ」と聞いて、ちょっとためらっておりました。
そういう意味では、同監督の作品でも、アニメの「ファンタスティック Mr. Fox」だけは見てなかったんであります。
それで、このたび、例によって、出張に向かう全日空の機内で、あまり期待もせず見ました。
『犬ヶ島』
いや〜、これは参った! あまりにも素晴らしい!!
ウェス・アンダーソン監督、まことに申し訳ありませんでした!
その、世界観やストーリーは、すでにご存知の方も多いと思いますけれど、日本の昔のような近未来のような不思議な舞台設定で、犬と少年を主人公に展開する、大ドラマなのであります。
異様に精緻に作り込まれた映像。なぜか多用されるシンメトリー。横向きの美しいシルエットがフィーチャーされる犬たちなど、アンダーソン監督ならではの映像世界が満喫できます。
ジョージ・クルーニーやメリル・ストリープ、スカーレット・ヨハンセン、ビル・マーレイ、果てはオノ・ヨーコから夏木マリまで、やけに(無駄に?)豪華な声優陣。英語と日本語が、異様な感じでミックスしているのも違和感ない、っていうか、むしろその違和感を楽しめるって感じでしょうか。
なんともとぼけた、独特の「間」や空気感は、ウェス・アンダーソン監督のどの作品にも共通するお約束の感覚でもあります。
トレーラー映像をいまいちどご覧下さいませ:
特に冒頭部分が秀逸。思わず引き込まれちゃいます。突然、太鼓が鳴り響くころには、すっかり持っていかれちゃいますね〜。
その冒頭3分の映像がこちらです:
米国の映画サイト「Rotten Tomato」の評価でも「90%」と圧倒的です。
っていうか、ウェス・アンダーソン監督の作品は、どれも非常に良い高い評価を誇っているんです。
<ウェス・アンダーソン監督作品 (%はRotten Tomatoの評価)>
- アンソニーのハッピー・モーテル(1996年) 85%
- 天才マックスの世界(1998年) 89%
- ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年) 80%
- ライフ・アクアティック(2004年) 56%
- ダージリン急行(2007年) 69%
- ファンタスティック Mr. FOX(2009年) 93%
- ムーンライズ・キングダム(2012年) 93%
- グランド・ブダペスト・ホテル(2014年) 91%
- 犬ヶ島(2018年) 90%
久我としては、やはり「ブダペスト・ホテル」の一位は揺るがず、2位は「ロイヤル・テネンバウム」、あとは甲乙つけ難いですが、この「犬が島」はまちがいなく上位に来ますね。
あわてて見た「Mr. Fox」も素晴らしいし、これもアニメを少々フィーチャーした「ライフ・アクアティック」も、実に味わい深いじゃありませんか。
いや〜、ウェス・アンダーソン監督。これからますます楽しみな監督であります。
ちなみに、「犬ヶ島」とウェス・アンダーソン監督を特集したこちらの「ユリイカ」も、とっても中身濃いです:
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