久我はこれまで、通勤時のミュージック・リスニング環境を究極化すべく、日夜試行錯誤を続けて参りましたが、今般、その機器を大幅に刷新いたしました。
イヤホンはShureの「SE846」。それをOnkyoのデジタル・オーディオ・プレイヤー「RUBATO: DP-S1A」に「バランス接続」というのがミソであります。
久我にとって、「リスニング環境」とは「通勤時のモバイル環境」のことです。
自宅に、DTMの音楽制作の環境はありますが、それ以外、「家で音楽を聴く」という行為には、それほど根性を入れておりません。
なんと言っても、「苦痛な通勤環境をいかに桃源郷に変えうるか」。これであります。
よって、久我にとって重要なのは、以下のポイントということになります:
・容量の確保(なるべくたくさんの曲を持ち歩く)
・雑音の除去(通勤時の騒音を可能な限り除去する)
・携帯性の確保(通勤なので、可能な限り身軽なシステム構成にしたい)
・操作性の確保(混んだ電車でも、早送りやヴォリュームの調整を簡単に行いたい)
・音質の向上(以上の制約条件を満たした上で、可能な限り良い音質を確保する)
これが、なかなか大変なんです・・・。
まず、「ハイレゾ」というものをどう考えるか。
そりゃ、スペックでいえばハイレゾが優秀なんでしょう。ただ、ファイル・サイズが大きいので、久我の第一条件「容量の確保」には大きなマイナス。また、ハイレゾ化された音源がまだまだ少ないという問題もあります。お値段も高めだし・・・。(実はそもそも、これまで聞いたハイレゾ音源で、「さすが!」というのに出会った試しがありません。例えば、スティーリー・ダンの『ガウチョ』。ハイレゾ盤も一応すべて所有していますが、リマスターCDに比べ、特に良いとは思えないです。やっぱり、ロジャー・ニコルズが直接関与してないと、決してスティーリー・ダンのサウンドにはならないいのか?。)
ということで、ハイレゾは排除。
ファイル形式は、すべてAppleのLosslessで統一し、「可逆的圧縮」でCDスペック(16bit/44.1kHz)を確保しつつ、容量も抑えるという基本方針で来ております(それでも、13万曲を超えると、全部で3TBにもなっちゃってます・・・)。
ただし、ここがミソなんですが、「アップ・サンプリング」は活用したいです。例えばCDスペックを、24bit/192kHzなど、可能な限り向上はさせたいと。
これには色々ご批判もありましょう。
「アップ・サンプリングなんて、所詮、インチキな音質加工技術じゃないか」と。否定しません。ただ、CDのアップサンプリングは、ハイレゾ音源をはるかに凌駕することしばしばです。そしてなにより、名将が精魂込めてリマスターしたCDをベースに愛聴できるのがポイントかも。
ということで、以上、ながながと「ハイレゾ」について述べてしまいました。
さて、お次はイヤホン。
「音質の鍵を握るのは、最終的な音の出口であるイヤホン」というのは常識です。
但し久我は、「騒音を遮断」ということに固執するあまり、「ノイズキャンセリング・イヤホン」でなきゃダメと思い込んでいた時期がありました。それゆえ「Bose、」を長い間使っていたのですが、いかんせん、あの中域が強調された音色がどうにも耐えられません。
ということで昨年から、イヤホンはShureのSE846に代えております。
コレは、あの中田ヤスタカ氏も愛用するバランスド・アーマチュア型のイヤホンで、高い解像度と引き締まった低音に優れ、圧倒的に素晴らしいです。
Shureのインイヤー型イヤホンは「遮音性」の点でも完璧で、これならノイズキャンセリング機能など一切不要。
➡️Shure SE846の導入経緯については、こちらをご参照下さい:
とにかく今は、これ以外のイヤホンは考えられません(さらに上を見れば、いくらでも「高級」なカスタム・イヤモニの世界があるんでしょうけれど、そもそも久我は、「好みのサウンド」というのを求めているのではなく、「より正確なモニター性能」を必要としておりますので、そういう意味でも、Shureのイヤモニに迫る機器はなかなかないと思います(そもそも「良い音とは何か」という哲学的な思想の問題がありますが、それはまた機会をあらためて・・・)。
さて、さらに、今回の久我の決断の最大のポイントは、「iPod/iPhoneからの決別」にあります・・・。
なにしろiPodやiPhoneは音が悪い。
出てくる音をそのまま聴くなんて、あり得ない。
なのに、なぜ使わないといけないのか?それは、ひとえに「Apple LosslessファイルをiTunesで管理する」という点で、どうしてもこれ以外の選択肢がなかったからなんです。
なので、これまではひたすら、「iPod/iPhoneの音をいかに改善するか」ということだけを追求して来ました。まず、iPod/iPhoneありきだと。よって、そのダメなDAコンバーターを回避し、音楽ファイルをデジタル信号のまま外に取り出し、DACで変換後アンプで増幅する、というのが基本構造でした。
それを、これまで立派に果たしてくれたのが、愛機「Venture Craft社のSounDroid Typhoon」というデジタル・ポータブル・アンプです!
今を去ること5年前、渋谷でコイツに一目惚れ(いや「一聴惚れ」)して以来、久我の通勤生活を向上させてくれた超優れもの。鍵はその優秀なDA変換と「アップ・サンプリング機能」。これに突っ込めば、MP3だろうがなんだろうが、立派にハイレゾ化して聞かせてくれます。
とにかく、いくら他の「ポタアン」に浮気しても必ず戻ってしまう愛すべき機器でありました(ちなみに久我は、こいつをあまりにも愛し過ぎたため、3台も所有しております・・・)。
今でも、Typhoonの音質には何の不満もありません。
ただ問題なのは、写真のように、コレとiPod/iPhoneをケーブルで繋ぐと、とにかく異様にかさばってしまうこと。長らく持ち運んでいたものの、もはや世代交代の時期が来たのかなと・・・。
さて、そこで今回、Onkyoの「RUBATO: DP-S1A」の登場です。
2017年12月発売で、価格的にもこなれて来ました。
いわゆる「ポータブル・デジタル・オーディオ・プレイヤー(DAP)」というもので、音楽ファイルを詰め込み(MicroSDカードの2枚差しで、容量は最大528MB)、DA変換・アンプ増幅の上、イヤホンをドライブします。
本機は、定評あるESS社のDACを2基搭載とか、電源周りの強化とか色々ありますけれど、とにかくその余裕ある「ふくよかな音像」には脱帽です・・・。おまけにアップ・サンプリング機能もアリということで、どのような音源も、「実質ハイレゾ」で楽しめると来た(但し、iTunesの便利さが無くなっちゃうのは大きなマイナスなんですけど・・・)。
上を見れば、「Astell & Kern」とか、これもキリがないんでしょうけれど、価格と性能のバランス、そして最終的には「日本メーカー」の安心感ということもあり(もちろん”Made in China”なわけですが・・・)、今回は、コイツを導入してみました。
尚、本機は「バランス型」にも対応ということで、名機SE846をさらに鳴らし切ってくれそうなことから、この際、バランス型のケーブルに「リケーブル」もしてみました。その違いは、これからエイジングが進んだところで、さらに確認して行きたいです(「リケーブル」の世界も奥が深くて恐ろしいんですが・・・)。
➡️Onkyoのデジタル・オーディオ・プレイヤー「RUBATO: DP-S1A」はAmazonで
以上、取り敢えず、「至福」であります!!!
ところで、今回、迷いに迷ったのは「ワイヤレス化をどう考えるか」ということでした。
これまでBluetoothなんて完全にバカにしていました。音は悪いし、切れるし、論外。
それでも、時代は明らかにワイヤレスなんでしょう。おまけに、aptXHDなど、Bluetoothの新しい技術も出てきています。
それで、買ってみました。
Radsonという中華メーカーの「EarStudio ES100」という商品。
DAC内蔵のBluetooth機器なのですが、iPhoneとBluetooth(aptXHD等)でしっかりつながった上で、iPhoneからのデジタル信号をDA変換し、内蔵アンプで増幅し、おまけにアップサンプリングまでしてくれるという優れもの。
その音質には、正直、驚愕。「コレとiPhoneのコンビで、ひょっとして次世代も行けるんじゃないの?」
この種の機器も、世の中には無数に出ており、久我も夢中でたくさん試したのですが、音質から操作性まで含め、これが最強ではないかと・・・。
ただ、結局、大いに悩んだのですけれど・・・。
Onkyoの、圧倒的な音楽表現にはまだまだ構わないと最終判断。今回、本格的なワイアレス化は見送りました(ちなみにDP-S1AにもBluetooth機能はありますけれど、これは使い物になりませんでした・・・)。
尚、EarStudioもあまりにも惜しいので、Shureの一番安いイヤホンSE215を繋いで、日常のワイヤレス・ニーズで使ってみることにしました。
➡️Bluetoothオーディオの優れもの、「EarStudio ES100」はこちらです:
以上、これからも久我の「究極のモバイル・リスニング環境を求める旅」は続きます。さらに、その道行をご報告させてください。
また、皆さんの色々なアイデアやご経験もシェアいただけましたら、大変うれしいです。
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