近年、スティーリー・ダンのライブCDが多数リリースされつつありますので、現在入手可能なものを中心に、まとめてご紹介します。おすすめ盤も選びました。どうぞご覧下さい。
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1. Verizon Wireless Amphitheatre, Charlotte 2006
2006年、北米のみでツアーを行ったスティーリー・ダンは、8月12日、ノースカロライナ州シャーロットで公演しました。なんと言っても目玉は、あのマイケル・マクドナルドがバックアップ・シンガーとして参加したこと。『ペグ』など、彼のコーラスがあればこそ際立つナンバーが見事に蘇りました。放送用に録音されたマスター・テープから生まれた高品位な2枚組CD。至近距離から聴けるドライで迫力あるサウンドは、あらゆるスティーリー・ダンのライブCDの中でも最高峰にあります。イチオシ!
■Disc 1:
1 タートル・トーク
2 菩薩
3 タイム・アウト・オブ・マインド
4 彩(エイジャ)
5 アイ・ガット・ザ・ニュース
6 ヘイ・ナインティーン
7 ジョージー
8 緑のイヤリング
9 ディーコン・ブルース
10 ブラック・フライデー
11 ダーティ・ワーク
■Disc 2:
1 イントロ>ショウ・ビズ・キッズ
2 ドゥ・イット・アゲイン
3 ペグ
4 最後の無法者
5 滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)
6 FM
7 マイ・オールド・スクール>ラスト・タンゴ・イン・パリ(フェードアウト)
なんと当日のフル・ステージは、ビデオにも残っています。ウォルター・ベッカーもまだまだ元気:
参加ミュージシャンは以下のとおりです:
- Donald Fagen: Keyboards and Vocals
- Walter Becker: Guitar
- Jon Herington: Guitar
- Freddie Washington: Bass
- Keith Carlock: Drums
- Jeff Young: Keyboards and Backing Vocals
- Walt Weiskopf: Sax
- Michael Leonhart: Trumpet
- Jim Pugh: Trombone
- Roger Rosenberg: Baritone Sax
- Carolyn Leonhart: Backing Vocals
- Cindy Mizelle: Backing Vocals
- Featuring: Michael McDonald: Keyboards and Vocals
2. Chicago 2009
2009年9月3日、シカゴ・シアターにて行なわれた『幻想の摩天楼(The Royal Scam)』の完全再現コンサート。ここでの話題は、ラリー・カールトンがゲストで参加したこと。『滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)』をはじめとするあの名演が、丸ごと再現されました。サウンドボード録音のレベルも高く、前述の『Charlotte 2006』に次いで、おすすめのセットです。
収録曲目は以下のとおり:
- Teenie’s Blues
- Kid Charlemagne
- The Caves of Altamira
- Don’t Take Me Alive
- Sign in Stranger
- The Fez
- Green Earrings
- Haitian Divorce
- Everything You Did
- The Royal Scam
- Hey Nineteen
- Dirty Work
- Black Friday
- I Got the News
- Aja
- Parker’s Band
- Love Is Like an Itching in My Heart – Band Introductions
- Peg
- Third World Man
- Piano Interlude
- Josie
- My Old School
- Reelin’ in the Years
- Last Tango in Paris
参加ミュージシャンは以下のとおりです:
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Melodica)
- Walter Becker (Guitar)
- Jon Herington (Guitar)
- Freddie Washington (Bass)
- Keith Carlock (Drums)
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Melodica)
- Walter Becker (Guitar)
- Jon Herington (Guitar)
- Freddie Washington (Bass)
- Keith Carlock (Drums)
- Jim Beard (Keyboards)
- Walt Weiskopf (Saxophone)
- Marvin Stamm (Trumpet)
- Jim Pugh (Trombone)
- Roger Rosenberg (Baritone saxophone)
- Catherine Russell (Background vocals)
- Carolyn Leonhart (Background vocals)
- Tawatha Agee (Background vocals)
- Featuring: Larry Carlton (Guitar)
- Jim Beard (Keyboards)
- Walt Weiskopf (Saxophone)
- Marvin Stamm (Trumpet)
- Jim Pugh (Trombone)
- Roger Rosenberg (Baritone saxophone)
- Catherine Russell (Background vocals)
- Carolyn Leonhart (Background vocals)
- Tawatha Agee (Background vocals)
- Featuring: Larry Carlton (Guitar)
3. Aja vs The Scam: Boston Broadcast 2009
上記のラリー・カールトン参加盤と同じ時期の、「アルバム丸ごとツアー」をとらえたCDがもうひとつ出ています。2009年7月22日、ボストン、ワング・シアターでのコンサート2枚組。『彩(エイジャ)』と『幻想の摩天楼』2枚の名盤を完全再現するということで、大変お得な内容となっています。カールトンを除くメンバーは同一。やはりFM放送用のマスター使用で、サウンド・クォリティーは高いですが、全体的には『Chicago 2009』にちょっと及びません。
収録曲は以下のとおり:
1. Teenie’s Blues (Oliver Nelson cover)
2. Black Cow
3. Aja
4. Deacon Blues
5. Peg
6. Home at Last
7. I Got the News
8. Josie
9. Kid Charlemagne
10. The Caves of Altamira
11. Don’t Take Me Alive
12. Sign in Stranger
13. The Fez
14. Green Earrings
15. Haitian Divorce
16. Everything You Did
17. The Royal Scam
アンコール
18. Hey Nineteen
19. Love Is Like an Itching in My Heart (The Supremes cover)
20. Black Friday
21. The Boston Rag
22. Dirty Water (The Standells cover)
23. My Old School
24. Last Tango in Paris (Gato Barbieri cover)
25. Pretzel Logic
4. Live in London 2000
2000年にスティーリー・ダンは『ガウチョ』以来20年振りのニュー・アルバム『トゥー・アゲインスト・ネイチャー』をリリースし、久々に大規模なワールド・ツアーを行います。本2枚組CDは、BBCのラジオ番組用に収録された、2000年9月10日、ロンドン、ハマースミス・アポロでのステージ模様を収めたもの。
収録曲は以下のとおりです:
■Disc 1:
1. ザ・ボストン・ラグ
2. 菩薩
3. ナイト・バイ・ナイト(夜ごと歩きまわるのさ)
4. ウエスト・オブ・ハリウッド
5. ジョージー(Incl. ドラム・ソロ)
6. ブラック・フライデー
7. 親父の嫌いなニューヨーク・シティ
8. 安らぎの家
9. ジャック・オブ・スピード
10. ヘイ・ナインティーン
■Disc 2:
1. ザ・スティーリー・ダン・ショウ
2. ディーコン・ブルース
3. バビロン・シスターズ
4. カズン・デュプリー
5. 君のいたずら
6. ダーティ・ワーク
7. ペグ
8. 滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)
9. 最後の無法者
10. マイ・オールド・スクール
11. FM
参加メンバーは下記のとおり:
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Keytar)
- Walter Becker (Vocals, guitar)
- Ricky Lawson (Drums)
- Tom Barney (Bass)
- Ted Baker (Piano, keyboards)
- Jon Herington (Guitar)
- Cornelius Bumpus (Saxophone)
- Bob Sheppard (Saxophone)
- Michael Leonhart (Trumpet)
- Jim Pugh (Trombone)
- Victoria Cave (Backing Vocals)
- Carolyn Leonhart (Backing Vocals)
- Cynthia Calhoun (Backing Vocals)
実は、筆者が一番好きなスティーリー・ダンのビデオは、『Live in London 2000』と同じ頃、同じメンバーでのライブをとらえたこのYouTube。場所はニューヨークのソニー・スタジオ。リッキー・ローソンのタイトなグルーヴに乗って、実に引き締まったパフォーマンスです。ステージの合間に、ドナルドとウォルターのインタビューがあったり、メンバーとの掛け合いがあったり、とってもイイなあ。ぜひご覧下さい:
5. Live In Virginia 1996
スティーリー・ダンは1995年、オフィシャルなライブ盤『Alive In America』をリリース、それを受けて1996年にはワールド・ツアーを行い、日本を含む世界各国を訪れます。これは同年、7月21日、ヴァージニア州ブリストウでのコンサートを捉えたのもの。2人のソロ・アルバムからのナンバーやカヴァー・ソング、アンコールを含めコンサートの模様を完全収録しており、前述のオフィシャル盤よりずっと中身の濃い内容となっています。これも放送用に録音されたマスター・テープを使用しており、音質も高いですが、ややベースの分離が悪いのが玉にキズ。
実は、これも丸ごと、ビデオが残っているんです:
収録曲は次のとおり:
■Disc 1:
1 ドゥ・イット・アゲイン
2 バッド・スニーカーズ
3 エヴリワンズ・ゴーン・トゥ・ザ・ムーヴィーズ
4 ジョージー
5 ジャック・オブ・スピード
6 FM(Incl. バンド・イントロ)
7 ヘイ・ナインティーン
8 緑のイヤリング
9 気どりや
10 グリーン・フラワー・ストリート
11 リキの電話番号
12 ペグ
■Disc 2:
1 イースト・セントルイス・トゥードゥル・オー
2 グラマー・プロフェッション
3 幻想のワーテルロー
4 ウェット・サイド・ストーリー
5 ミッドナイト・クルーザー
6 ブラック・カウ
7 安らぎの家
8 滅びゆく英雄(キッド・シャールメイン)
9 I.G.Y.
10 マイ・オールド・スクール
11 FM(リプリーズ)
参加メンバーは下記のとおりです:
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Keytar)
- Walter Becker (Vocals, Guitar)
- Tom Barney (Bass)
- John Beasley (Piano and Keyboards)
- Ricky Lawson (Drums)
- Wayne Krantz (Guitar)
- Cornelius Bumpus (Saxophone)
- Michael Leonhart (Trumpet)
- Ari Ambrose (Saxophone)
- Michelle Wiley (Background Vocals)
- Carolyn Leonhart (Background Vocals)
6. Live in California ’93
1980年の『ガウチョ』以降、事実上の活動休止状態になったスティーリー・ダンですが、1993年、ドナルド・ベッカーのソロ・アルバム『カマキリアド』をウォルター・ベッカーがプロデュースしたことから再び意気投合。日本を含むワールド・ツアーを行いました。1993年9月13日のカリフォルニアでのコンサートは、地元のFM局のスペシャル番組として収録されたもので、その際のマスターを使用してのCDリリースです。
収録曲:
■Disc 1:
1. 幻想の摩天楼> バッド・スニーカーズ> 彩(エイジャ)
2. 緑のイヤリング
3. 菩薩
4. I.G.Y.
5. ジョージー
6. ヘイ・ナインティーン
7. ブック・オブ・ライアーズ
8. チェイン・ライトニング> バンド・イントロダクション
9. グリーン・フラワー・ストリート
10. 安らぎの家
11. ブラック・フライデー
12. タズス・シャドウ
■Disc 2:
1. ディーコン・ブルース
2. トゥモロウズ・ガールズ
3. バビロン・シスターズ
4. リーリング・イン・ジ・イヤーズ
5. フォール・オブ’92
6. ペグ
7. サード・ワールド・マン
8. カウンタームーン
9. ティーハウス・オン・ザ・トラックス
10. マイ・オールド・スクール
11. FM
参加メンバーリスト:
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Keytar)
- Walter Becker (Vocals, Guitar)
- Drew Zingg (Lead Guitar)
- Peter Erskine (Drums)
- Tom Barney (Bass)
- Warren Bernhardt (Piano)
- Cornelius Bumpus, Chris Potter and Bob Sheppard (Saxophone)
- Brenda White-King, Diane Garisto and Catherine Russell (Backing Vocals)
- Bill Ware III (Vibraphone)
7. LIVE 1993
上記の1993年ツアーにおける、ミズーリ州メリーランド・ハイツでのコンサートを収録した2枚組アルバム。楽曲やメンバーは『California ’93』とほとんど同様です。
収録曲(要ダブルチェック):
- The Royal Scam
- Bad Sneakers
- Aja
- Green Earrings
- Bodhisattva
- I.G.Y.
- Josie
- Hey Nineteen
- Book of Liars
- Chain Lightning
- Band introductions
- Green Flower Street
- Home at Last
- Black Friday
- Deacon Blues
- Tomorrow’s Girls
- Babylon Sisters
- Reelin’ in the Years
- Fall of ’92
- Peg
- Third World Man
- Countermoon
- Teahouse on the Tracks
- My Old School
参加メンバーは下記のとおりです:
- Donald Fagen (Vocals, Fender Rhodes, Keytar)
- Walter Becker (Vocals, guitar)
- Drew Zingg (Guitar)
- Cornelius Bumpus (Saxophone)
- Bob Sheppard (Saxophone)
- Chris Potter (Saxophone)
- Peter Erskine (Drums)
- Tom Barney (Bass)
- Bill Ware (Vibes and percussion)
- Warren Bernhardt (Piano, Rhodes)
- Catherine Russell (Background vocals)
- Diane Garisto (Background vocals)
- Brenda White-King (Background vocals)
8. Northeast Corridor: Steely Dan Live!
ウォルター・ベッカーが2017年9月に他界して以降、喪に服した様子のドナルド・フェイゲンでしたが、2019年、ウォルターの遺志を継ぐべく意を決したかのように、決然と『スティーリー・ダン』を名乗り、一人で活動を再開しました。同年のツアーでは往年の名盤の全曲演奏ライヴも敢行。このCDは、各地で行われたコンサートから12曲を厳選し、一枚に収めたもの。当然に、音質もパフォーマンスのレベルも高いです。ということで、もはや純粋にスティーリー・ダンとは呼びにくいアルバムかもしれませんが、ユニバーサルからの正規版でもあり、この記録は大切にしたいですね。
楽曲リストと演奏会場については以下のとおりです:
- Black Cow (Live At Mohegan Sun Arena)
- Kid Charlemagne (Live At The Orpheum Theatre)
- Rikki Don’t Lose That Number (Live At Mohegan Sun Arena)
- Hey Nineteen (Live At The Met Philadelphia)
- Any Major Dude Will Tell You (Live At Mohegan Sun Arena)
- Glamour Profession (Live At The Met Philadelphia)
- Things I Miss the Most (Live At The Beacon Theatre)
- Aja (Live At The Orpheum Theatre)
- Peg (Live At The Orpheum Theatre)
- Bodhisattva (Live At The Beacon Theatre)
- Reelin’ in the Years (Live At Mohegan Sun Arena)
- A Man Ain’t Supposed to Cry (Live At The Orpheum Theatre)
9. Live In Tennessee/California 1974
1993年に再開されるまで、スティーリー・ダンのライブ活動は封印されていました。その、封印前のステージの様子に触れるにはこのCDが良いでしょう。2枚組CDに、1974年4月30日、テネシー州メンフィスのエリス・オーディトリアムと、同年3月20日カリフォルニア州サウサリートのレコード・プラント・スタジオでのライヴを収録。どちらもFM放送用の音源です。収録曲も下記のとおり、初期アルバムのヒット・メドレー的なものになっています。
■Disc 1:
1菩薩
2ザ・ボストン・ラグ
3ドゥ・イット・アゲイン
4ブルックリン
5キング・オブ・ザ・ワールド
6ブルース・インプロヴィゼーション
7リキの電話番号
8プレッツェル・ロジック
9マイ・オールド・スクール
10ダーティ・ワーク
11インストゥルメンタル
12リーリン・イン・ジ・イヤーズ
13すべて真実
14ディス・オール・トゥー・モバイル・ホーム
■Disc 2:
1イントロダクション
2菩薩
3ザ・ボストン・ラグ
4ドゥ・イット・アゲイン
5気どりや
6キング・オブ・ザ・ワールド
7リキの電話番号
8プレッツェル・ロジック
9お前のゴールド・ティース II
10リーリン・イン・ジ・イヤーズ
11ディス・オール・トゥー・モバイル・ホーム
10. CDの正統性
以上のCDの多くは、Alive The Liveというレーベルから近年積極的にリリースされています。同社はスティーリー・ダン以外にも多数の「発掘盤」を出していますが、その会社の実態は良く分かりません(▶️Alive The Live)。
同社の説明では「アメリカン・ロックやクラシック・ロック、メタル、ジャズ/フュージョン他様々なジャンルを含む数々のアーティストの過去のライヴのFMラジオ放送用音源やテレビ番組出演時の音源などの貴重なアーカイヴをIAC〈インター・アート・コミッティーズ〉のレーベル《Alive The Live》が輸入盤国内仕様でリリース。各タイトル帯、英語ブックレットの対訳付き。」
ということで、早い話が、やっぱり「ブートレッグ(海賊版)」なのでしょう。
但し、ほとんどの音源が、各地のテレビやラジオ局で放送用に録音されたものということで、少なくとも、放送用としてアーティストが了解し録音・収録された音源であるはず。それって、「公式ではないが正規に収録されたモノ?」つまりは、「公式海賊盤」みたいなものか???
まあ、かつてのブートと違って、最近のものは音質も向上し、パッケージも遜色ないことから、コレクター商品としては、一定の価値あるものと思いたいところです。
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