スティーリー・ダンの「Aja」SACDが出るらしいけど。

steely-dan-ajaAja」のSACDが出ると聞くとどっきりします。

なぜなら、これまで「ガウチョ」やドナルド・フェイゲンのアルバムは、SACDやDVD Audioといった高音質盤が出てるのに、Ajaだけは一切出ていなかったからです(リマスターCDはもちろんありますけど)。スティーリー・ダンの究極の最高傑作がなぜ?高音質といえばAjaなのになぜ?

それには理由があります。オリジナルのマスター・テープが紛失してしまったからです。盗まれたという説もあります。ドナルド・フェイゲンが「見つけてくれた人に賞金を」と広告を出したこともあります。その後どうなったか不明ですが、SACD等のリリースがないので、なくなったままなのだと思っていました。

ところが、今回、突然日本でSACDが発売されるとのこと。猛然と興味がわいてきます。

HMVの説明文を載せます:
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※初SA-CD化 
国内オリジナル・アナログ・テープを基にした2010年最新DSDマスター

(メーカー資料より)透明性/流動性に優れるSHM素材をボディに使用。
さらに、DSD本来の特性が生きるシングルレイヤー(2ch)方式を採り入れた、究極のSuper Audio CDシリーズです
そのシンプルな変換方式(Direct Stream Digital=DSD)と大容量(4.7GB=CDの約7倍)で、原音に限りなく忠実な再生を可能にするSuper Audio CD(SA-CD)。1999年に規格化されて以来、高音質を追求するオーディオファイル達の確かな信頼を勝ち得てきました。
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つまり、「日本国内のオリジナルマスター・テープ」を使っているということですね。これは、発売当時に日本でLPを生産するために送られて来た日本向けのマスター・テープ、すなわちコピーでしょう。やっぱり、『本当の』オリジナル・マスターが見つかったわけではないのね・・・。

さらに、それをSACDマスターに落とすのは、やっぱり日本人のエンジニアなんですね。

これは、結局、日本人による日本人のためのSACDなんだな。やっぱり。

歴史的名盤を高音質CDで発行してくれるのは有難いですし、迷わず買ってしまうんでしょうけれど、どうも複雑な心境です・・・。

まあ、SACDという規格そのものが普及せず、いまや風前の灯ともいえる状況なので、日本が頑張ってその灯を消さずに後世に伝えて行こうと姿勢は評価できます。ただ、SHM素材とくっつけて、また新しく「高音質盤」を押しつけようという業界側の魂胆も見え隠れして、素直には喜べません。実際、4500円という価格はどうでしょう?マニアの財布を当てにした商魂に、やや気持ちがしらけてしまいます。

さてさて、それでも話題性があるのは間違いありません。聞いてみようかなという方は、こちらからどうぞ。発売は6月23日:

スティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」SACD

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