我らがスティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンと故ウォルター・ベッカーの二人は、『グランド・ブダペスト・ホテル』で有名な映画監督、ウェス・アンダーソンの大ファンなんだそうです。
そりゃ、そうなんだろうなー。
なにしろ、皮肉と諧謔趣味に満ちた歌世界のスティーリー・ダン。
映画の趣味だって、一筋縄なわきゃないんだ。
なになに、二人が好きな監督は、エイゼンシュテイン、ルネ・クレール、黒澤明(!)、ゴダール、フェリーに、タルコフスキーなどですと。
はいはい、素晴らしいご趣味をしておられます。
そして、その二人のお眼鏡にかなったのが、若干49歳、ウェス・アンダーソン!
ウェス・アンダーソンの監督デビューは1996年。
その作風は、ハリウッドの王道エンタテインメントとまったく異なる、ノスタルジーやユーモア、ひねりや深みに満ち、実に個性的なんです。
例えば、その「ブダペスト・ホテル」。ご覧になりました?
1930年代の、東欧の架空の豪華ホテルで、殺人事件がおこり、ドタバタの追跡劇がおこるという不思議なムードがいっぱいな一品。
なんと、アカデミー賞を4部門も受賞しちいました。
久我も超大好きな監督の一人なんですね。
最新作のアニメ作品『犬ヶ島』も絶品です(→ぜひ、こちらもご覧ください)。
このウェス・アンダーソン監督に、あの偏屈者の二人がどっぷりハマっちゃった、っていうんだから面白いです。
で、ドナルドとウォルターの二人の愛が嵩じて、ついに、アンダーソン監督に直接にラブレターまで捧げちゃうんです。
これがそれ。ちゃんとスティーリー・ダンのウェブサイトに掲載されてるってのが、最高に笑えます:
で、要するに、遠回し近回しに、二人がいかにアンダーソン・ムービーを愛しており、できれば、今後の作品に自分たちの音楽を使って欲しいってことなんですけど、これまで映画で使われたサウンドトラックをけなしたり、強気に出たり、へりくだったり、天下のドナルドとウォルターが、ウェス・アンダーソン監督にぞっこんメロメロなのが伝わってきます。
なにしろ「アンダーソンの作品を覆うエレガンスはただの洗練ではなく、過剰なまでに造り込まれたミニチュア世界に漂う優美さであるという点だ」とまで言っているのですから、尋常じゃないです。
この微笑ましく、かつセンスあふれる愛情表現に乾杯!
(それでアンダーソン監督が、その後、スティーリー・ダンの音楽を、自身の映画に使った形跡はありません。天下のお二人に、なんという仕打ちを・・・。ええ根性しとるわ!)
まあ、天国のウォルターも、ニヤニヤ斜に構えて、きっと眺めていることでしょう!
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