80〜90年代に話題を集めた「謎の音楽集団」、アート・オブ・ノイズ (The Art of Noise)。リマスター版が登場したので買いなおしたところ、ふたたびはまってしまいました。
プリンスの「Kiss」を題材に、トム・ジョーンズで大ヒットさせたのは彼らですし、ヘンリー・マンシーニの「ピーター・ガン」を、むちゃくちゃアレンジしたのも彼らです。
そのシンボルともなったのが、フェアライトCMIという、今のシンセサイザーのはしりのような機械(何百万円もしました)。オケ・ヒットと呼ばれたサンプリング・サウンドをビシバシかましまくったんです。
ところが、その「冗談音楽」のような個性がだんだん変質し、最後に行きついたのが「ドビュッシー」というのが、これまた面白い。
ドビュッシーと言えば、説明不要のフランスの大作曲家。その革新的な音響は、ジャズなどの現代音楽にもつながったという、正にクラッシック音楽界の革命児でありました。
アート・オブ・ノイズは、99年に発表した「ドビュッシーの誘惑」というアルバムで、このクラッシックの巨匠から数々の「断片」を拝借。最新鋭のドラムン・ベースに乗せたりして、徹底的な再構成を図ったんです。これは、ものすごく感動的。ぜひ一度、聞いてみて下さい。
そこでは、紅一点のアン・ダドリーのクラッシックへの造詣が全開。そういえば彼女は、映画音楽の世界で既に大御所となっていました。例えば、「クライング・ゲーム」とかフィル・コリンズ主演の「バスター」。「フルモンティ」ではグラミー賞も獲得しています。
ということで、さらに彼女のサントラの世界へ。現在、アルバムを14枚買い占めたところですが、どれも、端正な中に濃厚なロマンチシズムがあふれる傑作ばかりです。
そして、やっぱりトレバー・ホーン。
アート・オブ・ノイズは、彼の興したレコード会社「ZTT」の看板アーティストでした。同レーベルは、「フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド」や「プロバガンダ」など、当時、最も洗練されたヨーロッパ音楽を発信していた集団で、クラブ系から「シール」まで、ヒットを出し続けました。
そのムーブメントの全ての背後にいたのが、才人トレバー・ホーン。さらに奥が深いんです・・・。
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