坂本龍一が亡くなって、早くも2年が経ってしまいました。
故人を偲んで多くの書籍や雑誌等が出されていますが、筆者は、今年2月に発刊されたこの『坂本龍一のプレイリスト』を愛読しています。
「坂本龍一は、どんな音楽を愛したのか」ということで、150曲をプレイリスト化。このうち31曲については、坂本龍一本人が自身の葬儀で流すように選んだ「フューネラル」というプレイリストそのもので、残りは教授がラジオ番組や著書などで採り上げた曲の中から選ぶという形になっています。編集者の吉村栄一氏の、教授への愛情と敬意に満ちた選曲と解説で、まさにきっとこんなプレイリストなんだろうなと思わせる内容です。(実は筆者は、このうち100曲以上の音源を、教授の薦めるオリジナルのバージョンで既に所有しており、さらにこの際追加で入手し、現在129曲まで追い込見ました。教授と好みがほとんど一緒ということで、幸せな気持ちになっています。)
さて、その150曲を分類すると、「クラシック(33曲)」「ニューウェーブ(21曲)」「アンビエント(20曲)」「映画音楽(15曲)」「ジャズ(13曲)」「R&B/ソウル(13曲)」「ワールド・ミュージック(12曲)」「YMO系(7曲)」「ロック/ポップス (7曲)」といったところです。
ジャンル別に見てみると:
- クラシック:まず、教授の愛してやまないドビュッシー、ラヴェル、サティなどフランス系。坂本龍一が中学2年生の時に聴いて衝撃を受けたというエピソードで有名なのはドビュッシーの『弦楽四重奏ト短調』。また、バッハへの愛も顕著で、グレン・グールドのを中心に8曲も選んでいます。そのほか、ケージやシュトックハウゼンの前衛まで。
- ニューウェーブ:フライング・リザーズ、ヴィサージ、スリッツ、ファン・ボーイ・スリー、エイフェックス・ツインなどなど。教授と直接交流のあったミュージシャンも多く含まれています。
- アンビエント:これはなんといってもブライアン・イーノ。ロバート・フリップとのコラボを含め3曲が選ばれています。そのほか日本人ミュージシャンらによる実験的な作品も多いです。
- 映画音楽:ここは教授の大好物ということで、まずミシェル・ルグラン。『シェルブールの雨傘』など5曲もエントリー。続いてフランシス・レイが『パリの巡り逢い』など3曲。以下、ジョルジュ・ドリューも入れるとやはりフランス勢が優勢。これにニーノ・ロータ、エンニオ・モリコーネのイタリア勢が続きます。
- ブラジル系:当然にアントニオ・カルロス・ジョビンとジョアン・ジルベルトから、共に3曲ずつ。どちらもあの巨匠クラウス・オガーマンのアレンジを中心にということで納得です。
- ジャズ:正統派のジョン・コルトレーン、マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンスなどが選ばれる一方、フュージョン系は意外に乏しく、ハービー・ハンコックとパット・メセニーぐらいにとどまります。
- R&B/ソウル:これもマーヴィン・ゲイ、ジェームス・ブラウン、ダニー・ハサウェイなど正統派が並びます。
本人の選んだ「フューネラル」というプレイリストは、ストリーミング等でも広まっており、ここに載せます。ドビュッシーとバッハを中心に、教授が心から愛してやまなかったこれらの楽曲に送られて、彼は天国に旅立って行ったんですね。合掌。

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