ジャズ/フュージョン界におけるブレッカー・ブラザーズの評価は、やや低過ぎるような気がしています。
彼らの生み出して来た音楽は、単なるブラスをフィーチャーしたフュージョンではなく、曲づくりそのものから革新的な、真に創造的なジャズだったと思います。
テナー・サックスを担当する弟のマイケル・ブレッカーは、「ジョン・コルトレーン以降、最もテナー・サックスの演奏スタイルに影響を与えた」と言われるほどの偉大なプレイヤーで、2007年に白血病のため、57歳の若さで多くのファンに惜しまれつつ亡くなってしまいました。
一方、トランペットを手掛けるお兄さんのランディ・ブレッカーは、弟ほどの知名度はないものの、ブレッカー・ブレザーズにおいて非常に大きな役割を果たしました。特に、不協和音を多用した高度な楽曲は、ほとんどランディのペンによるもので、彼らの個性そのものと言えると思います。
ブレッカーブラザーズには、当時の超一流ジャズ/フュージョン・プレイヤーが入れ替わり立ち代わり名を連ね、素晴らしいバンド・サウンドを叩き出してくれました。デヴィッド・サンボーン(アルトサックス)、ウィル・リー(ベース)、スティーヴ・カーン(ギター)、ドン・グロルニック(キーボード)、クリス・パーカー(ドラム)、そしてあのテリー・ボジオまで!
さて、ブレッカー・ブレザーズの名作アルバムの数々は、過去いろいろなフォーマットでリリースされてきましたが、昨年発売された「コンプリート・アリスタ・アルバム・コレクション」こそが、決定版と言える内容と断言できます。
1975年のデビュー・アルバムから、1980年の6作目「ストラップ・ハンギン」まで、アリスタ・レーベルにおける全アルバムが、最新リマスターで全てそろうのに加え、1979年に発表されたモントゥルー・ジャズ・フェスティバルにおけるアリスタ・レーベルのオールスターによるライブ版「ブルー・モントゥルー」の1と2が、そのまま収録されています。
特に、この「ブルー・モントゥルー」は、ブレッカー兄弟に加え、当時のフュージョン界の重鎮マイク・マイニエリ(バイブ)、トニー・レヴィン!(ベース)、ウォーレン・バーンハート(キーボード)、スティーヴ・ジョーダン(ドラム)、スティーヴ・カーン(ギター)、ラリーコリエル(一部ギター)らによるバリバリのフュージョン・パフォーマンスが堪能できます。2枚とも廃盤で、中古盤には5000円以上の値がついてますので、この2枚のために買うだけでも、このボックス・セット(Amazonで¥4,875)は価値があると思います。
ブレッカー・ブラザーズは、GRPレーベルに移籍後、90年代に下記2枚のアルバムを出してから新作を出しておらず、そういう意味でも、このボックス・セットを入手すれば、彼らの文字どおりの全盛期が堪能できます(尚、この2枚も聞きのがせない傑作です!)。
「Return of the Brecker Brothers」 1992年
「Out of the Loop」 1994年
コメントを残す