フランシス・レイが亡くなってしまいました。
11月17日。享年86歳。
フランス映画におけるサウンド・トラックの巨匠として、多くの作品を遺し、ここ日本でも多くの映画ファン・音楽ファンに愛された存在でした。
特に、60年代後半から70年代にかけて、クロード・ルルーシュ監督とのコンビで、多くの傑作を生み出しました。
『男と女』、『白い恋人たち』、『パリのめぐり逢い』、『あの愛をふたたび』、『愛と哀しみのボレロ』などなど・・・。
多くのロマンチックな映画作品に、魔法のような音楽をちりばめて、私たちを夢の世界に誘ってくれました。
その偉大な足跡をたどるには、やはり、作品を聞くことが1番のようです。
まず、なんと言っても『男と女』。アヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンの演ずる大人のラブストーリーが素敵すぎます。そして、フランシス・レイのこのテーマが、ひたすら胸にしみる・・・:
ダヴァ、ダヴァ、ダヴァ、ダッ、、、。これは絶対に、3/3/4の変拍子でなければならないのです。主旋律を弾いてる楽器がなんなのか、いまだに分かりません。オルガンかとは思うものの・・・。そして、コーラス部分のなんと豊かな和声・・・。恋する男と女がダヴァ、ダヴァなのです・・・。う〜む、今まで何度聞いたかわからないけど、あまりにも素晴らしい・・・。
さて、そして、やっぱり想い出深いのは『白い恋人たち』。
1968年のグルノーブル・オリンピックを舞台にしたスポーツ・ドキュメンタリーなのに、なぜこんなにロマンチックなの?:
これも、流れるように素敵なワルツだなー。やっぱり主旋律を奏でる鍵盤楽器が、何なのか、とんと分かりません。どなたかご存知でしたら、ぜひ教えてください・・・。
そして、これがまた、とてつもなく好きなんだわ。『パリのめぐり逢い(Vivre pour vivre)』。1967年。
イヴ・モンタンと、キャンディス・バーゲン演じるアメリカ娘とのラヴ・アフェアー。ただもう、ひたすらロマンチックです・・・。
『さらば夏の日』も忘れがたいですねー。
クロード・ルルーシュ作品ではありませんが(ミシェル・ボワロン監督)、イケメンのルノー・ベルレーが演じる「夏のバカンスを楽しむ若い恋人たちの胸を、そよ風のようにかすめていった甘くせつない恋」の物語ですと。日本でもヒットしました。これまた切ないフランシス・レイのメロディーが、まさに胸キュンであります。
https://youtu.be/0qFn_n-CUlg
お次は『雨の訪問者』。「う~ん、マンダム!」のチャールズ・ブロンソンが演ずるサスペンス。1970年のルネ・クレマン監督作品。日本でも大ヒット。フランシス・レイのこのワルツは、多くの方が覚えておられることでしょう。
とうことで、当然、『ある愛の詩 LOVE STORY』をはずすすわけには参りません。アリ・マッグローとライアン・オニールが演じる恋人たちの、あまりにも悲しく切ない愛の物語。「愛とは決して後悔しないこと」。そう、そうなんです・・・。フランシス・レイの忘れがたい音楽は、1970年のアカデミー作曲賞を受賞。
なんともはや、ため息が出るような、若い日の想い出にひたる、久我であります・・・。
しかし、どうも・・・、
久我のフランシス・レイ熱も、このあたりまでがいいところでありまして、その後は、どうも、入り込めない感じが、正直、ありました。
ますます売れっ子になって行ったレイは、『ビリティス』『愛と哀しみのボレロ』『続エマニエル夫人』など、多くのヒット作を手がけるのですが、どうも、「弾は撃ちつくした」と申しますか、それまでの焼き直しのような作品が増えてきたような印象。やけに「俗っぽく」なってしまったと言いますか、往年の輝きが徐々に消えて行ってしまったような気もいたします。
そんなこんなで、久我的には、映画音楽の巨匠としてのフランシス・レイを高く評価するものの、必ずしもトップではなく、フランスで言っても、ジョルジュ・ドルリューやアントワーヌ・デュアメル、そしてカブリエル・ヤレドなどを、今では高く評価するものです。
天国のフランシス・レイ先生、ごめんなさい・・・。
さて、そんなフランシスレイですが、最後に、あまり知られていないけれど、これまた絶対忘れることのできない作品があるんです。
カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『うたかたの恋 Mayerling』。
1968年の宮廷もの。はっきり言って、あまりにも美しいカトリーヌ・ドヌーヴの絶頂期の映画として好きということなんでありますが、ここで聞かれるフランシスレイの楽曲も、素晴らしいのひとこと。どうか、その10分間にわたるエッセンスをお聞きください。:
いや〜、映画って本当にいいものですねえ。
それでは、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。
サヨナラ、フランシス・レイ!
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