史上最大のロック・バンド、レッド・ツェッペリン。
どなたか異論ありますか?
レッド・ツェッペリンは、まさに唯一無二の存在でした。
彼らの残した足跡は、あまりにも巨大。
不動の四名が融合し、前進し、ロックの地平線を拡大し。
ブルースをベースにしたハード・ロックに、フォーク、ジャズ、ファンクなどの要素を次々と取り入れ、やがてはワールド・ミュージックの果てまで行ってしまった。
レッド・ツェッペリンは、ほかのハード・ロック・バンドが束になってもかなわない「ふところの深さ」を持っていました。
その、底知れぬ多様性をまざまざと見せつけてくれたのが、1975年の『フィジカル・グラフィティ』です。
レッド・ツェッペリンのそれまでの試行錯誤が実をむすび、さらに新しい次元に入った初の2枚組み大作。
全米アルバム・チャート6週連続首位。売り上げは1,500万枚を突破。
ローリング・ストーン誌は、本作を「まるで『トミー』、『ベガーズ・バンケット』、『サージェント・ペパーズ』を一つにしたような傑作」と最大限の評価を与えています。
まず、『フィジカル・グラフィティ』は、ZEP流ファンク「カスタード・パイ」で開幕です:
「死にかけて(In My Time of Dying)」 では、ウィリー・ジョンソンのゴスペルを換骨奪胎し、どっぷり「スワンプ・フィーリング」を:
さらに「トランプルド・アンダーフット」で前進!シングル・カットされた「押せ押せ」のファンキー・ナンバーで、コンサートでも定番。ジョーンジーのクラビネットが効いています:
そして、いよいよ「カシミール」。もはや説明不要の「エスニック超大作」。ここでも、メロトロンをはじめとするジョーンジーのキーボード群が効いてるのと、なんと言っても、ボンゾの「くい打ちドラム」!:
ふたたび、堂々たる「テン・イヤーズ・ゴーン」。そうか、ジミーはギターを14本もオーバーダビングしたのか。完全に納得するまでトコトン作り込む、それがジミー・ペイジの真骨頂なんだ:
一転、超ポップな「夜間飛行(Night Flight)」。コレって『IV』のアウト・テイクだったの?確かに、あまりにもポップすぎてあつかいに困ったのかもな。でも、とっても愛すべきナンバーなんです:
もちろん、王道のハード路線も忘れちゃいない、「ワントン・ソング」。パーシーよシャウトせよ!ボンゾよ叩きまくれ!:
『フィジカル・グラフィティ』は、熱烈なファンの間では評価の分かれるアルバムでもありました。
アウト・テイクを使って無理やり二枚組にしたので、曲にバラつきがあるとか、メンバー間の不協和音があったとか、まあ、そういった面もあったでしょう。
でも、ジミー・ペイジは、ツェッペリンのアルバムの中であえて選べばということで、『フィジカル・グラフィティ』を、「最も満足できる作品」としてあげています。
四人のメンバーが、その持てる実力をすべて出し切り、さらなる高みに達した。そんな満足感があったのでしょう。
ベースに加え膨大なキーボード群をあやつったジョン・ポール・ジョーンズ。彼がいなけりゃ、ここまで創造の幅を広げるのは無理。そして、ジョン・ボーナム。ファンクから正統派ロックまで。どんなビートだって変拍子だって、「人間発電所」ボンゾにまかせりゃ大丈夫。おお、ロバート・プラント。「ボイス・オブ・ZEP!」なにをつけ加えることがあるでしょう。
そして、コレらをすべてまとめ上げ、2枚組で披露してみせたジミー・ペイジ!
「ギターの腕前自体は大したことない」なんて悪口をいう連中もいますけど、ジミー・ペイジの、プロデューサーとしての「総合的な音楽性」に、少しでも近づけた「ギタリスト」って、ほかにいたでしょうか?「誰も聞いたことのない音像を現出させてくれる」そんな創造の塊こそがジミー!
「圧倒的な多様性」で、さらにその凄まじさを世界に証明したレッド・ツェッペリン。
「ハードロック」という狭いジャンルを完全に超えて、「真に別格の存在」となり得たのが、、この『フィジカル・グラフィティ』だったと言えるでしょう。
▶️レッド・ツェッペリンの歴史的名盤『フィジカル・グラフィティ』は、2015年の最新リマスターで:
さて、ほかにレッド・ツェッペリンのアルバムでどれか選べば?って言われても困ります。とにかくファーストから全部聴いてもらうしかないです。
ただ、久我的には1970年のサード・アルバム「III」が、特に思い出深いですねー。
深夜放送で初めて耳にした「移民の歌」にびっくり仰天!翌日、レコード屋に駆けこんで、人生で初めて買った「ハード・ロック」のアルバムがコレでした。
特にびっくりしたのは、LPのB面を、ほとんど全部アコースティック・ナンバーが占めていたこと。
「あれっ、ツェッペリンってフォーク・ソングもやるの???」
まさに頂点を極めようっていうその時に、あたかも「肩すかし」のような? そんな、ふところの深さを余裕で見せつける。
なんという大胆不敵!
わけもわからず感動し、夢見心地でハマってしまったツェッペリン。
その熱は、1971年9月23日、日本武道館における初来日公演で頂点に達してしまったのです・・・。
一生忘れません・・・。
▶️レッド・ツェッペリンの「III」も、この最新リマスターで:
レッド・ツェッペリンは1980年、ボンゾの死をもって活動停止。
その後、メンバーを補充することなく、2007年12月11日の「一夜限りのリユニオン」をのぞいて、「再結成」は封印されてきました。
まだまだ欲のあるジミー・ペイジに、頑としてゆずらないロバート・プラント。
でも、もういいでしょう。
史上最大・最高のロック・バンド、レッド・ツェッペリン。
その伝説は永遠に不滅なんですから!
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