10月に伝記映画『グッバイ・アンド・ハロー〜父からの贈りもの〜』が公開されるジェフ・バックリィ。
1990年代で最も将来を嘱望されたアーティストの一人でしたが、水泳中に30歳の若さで溺死。アメリカの音楽界に起こった悲劇の一つとされています。
ローリング・ストーンの選ぶ「歴史上最も偉大な100人のシンガー」において第39位、英国Q誌の同様なランキングでは第10位。
ジェフ・バックリィは、確固たるその名を音楽史の中に残しました。
ジェフ・バックリィの父親は1960年代に活躍したフォーク歌手、ティム・バックリィですが、親子のつながりは乏しいものでした。ジェフは90年代のはじめに音楽活動を開始し、1994年にソロ・アルバム『グレース/Grace』を発表。
結果的に、生前に残した作品は実質上このアルバム1枚ということになりました。
つまり、ジェフ・バックリィはたった1枚のアルバムで、歴史に名を残したのです。
『グレース』は、当初の売れ行きは芳しくありませんでしたが、各界の著名人から高評価を受けセールスも伸び、最終的には全米ゴールドアルバムの認定を受けました。
例えばジミー・ペイジは、「『グレース』は1994年最高のアルバムだ」と語り、ロバート・プラント共々ジェフ・バックリィを全面的に支持。
クリッシー・ハインドはプリテンダーズとのジャムに彼を参加させ、ポール・マッカートニーやルー・リードはジェフのライブを観てバックステージを訪ねてきました。
ジェフ・バックリィが当時の音楽シーンに巻き起こしたセンセーションがうかがえるというものです。
それでは、『グレース』よりタイトル曲をお聞きください:
次に『エターナル・ライフ』。当時の「グランジ・ロック」の流れも感じられる強烈なロック・ナンバーです:
U2のボノとエッジは、ジェフが初めてニューヨークにやってきたときに激励。ジェフの死後、ボノは「ジェフ・バックリィはノイズの海の中の濁りのないひとしずくだった」と美しい追悼のコメントを残しました。
またエルヴィス・コステロは、ジェフの『奇跡の声』に驚愕し、「彼はどんな歌でも自分の世界に持ち込めるんだ。しっかりとした個性を持ちながら、その曲を更に美しいものにすることができる。ジェフはそれを苦もなく自然にやってのける。そんなことが可能な人間はこの世の中にほんのひと握りいるか、いないかなんだ」と語りました。
ジェフ・バックリィの評価を決定付けたのはこの曲『ハレルヤ』です。レナード・コーエンのオリジナルを限りなく静謐なイメージで再生させたジェフの歌唱は、永遠に不滅です:
映画『グッバイ・アンド・ハロー〜父からの贈りもの〜』の予告編はこちら:
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