至高のギタリスト、アラン・ホールズワースが亡くなって、もう3年経ってしまいました。
晩年は財政的に恵まれず、家族からも遠ざかったホールズワースでしたが、別れた奥さんとの一人娘ルイーズさんが、亡き父のレガシーを世に遺すため活動を続けてくれています(Allan Holdsworth Archives)。
その一環で、貴重なライブ音源が発掘されて来ており、今回の1986年ドイツ・フランクフルトでのCD/DVDは、第三弾ということになります(このほか「Live in Japan ’84」と「Warsaw ’98」)。
特に興味深いのは、これがアラン・ホールズワースの最も脂の乗りきった時期のパフォーマンスであることと、CDケースにもバッチリ登場している、あの「変態ギターシンセ:SynthAxe」をふんだんに使っていることなんです。
それでは、その「変態パフォーマンス」の一部を:
いや〜、ほんのちょっとしか写りませんでしたねー。ぜひ、DVDでご覧ください!
SynthAxeはあまりにも操作が難しく、しかも壊れやすかったので、ほとんど普及せず、これを弾きこなせたのは、後にも先にもアラン・ホールズワースただ一人だけだったと言えます。
通常のギターの表現力に常に限界を感じていたホールズワースにとって、この「SynthAxe」はまさに夢の楽器であり、1986年発売のアルバム「Atavachron」から大胆に導入しはじめ、ステージでも実演してしまったのでした。
別のビデオでも見てみましょう(ホールズワースのSynthAxeへの想いも語られています):
まさにこのDVDで、その頃の貴重な姿を目撃(SynthAxe入りは3曲も!)できるんです。。
サポートを務めるのは、おなじみドラムのゲイリー・ハズバンドとベースのジミー・ジョンソン。ちょっと興味深いのが、キーボーでケイ赤城が参加していることでしょうか。知る人ぞ知る、わが国が誇るアメリカ在住のフュージョン系キーボード奏者で、マイルス・デイヴィスやアル・ディメオラなどとの活動で知られます(ここでのケイ赤城は、難度の高いホールズワースの楽曲を頑張ってこなしている印象ですが、ちょっと合わなかったのか、その後のツアーには参加していません・・・)。
さてそれでは、同ライブのDVDから、もう一曲さわりを:
「フランクフルト’86」CD/DVD(2枚組)は、Amazonでお求めいただけます:
久我にとってアラン・ホールズワースは、迷うことなくナンバーワンのギタリスト。その想いはこれからも決して変わることはありません。
そんな自分にとって、ホールズワースのどんな音源もどんな映像もただひたすらありがたく、今後も静かに噛みしめながら、思いを馳せていきたいと思っております(こちらの「究極のアーティスト:アラン・ホールズワース」もご覧ください)。
アランホールズワースだけてなく、全ての才能ある個性派のミュージシャン、いや芸術家はコマーシャリズムの後押しが必要だという皮肉ですね。私の知る狭い範囲でも、マネージメントとプロデュースに長けたジョンウェットンがいなければ、少なくとも彼の活動はもっと知る人ぞ知るものになっていたのでしょう。
本当に厳しい世界です。そのジョンともアランはUKで別れちゃったんだから、商業的成功はぜんぜん遠のいちゃいましたね。ま、本人はそれでいいんでしょうけれど。