問題作と知ってはおりましたが、ここまでとは・・・。わたし的には、「こりゃあかんわ」です・・・。
もうこれは、ただ単に「テリー・ギリアムの新作」ということだけに意味があって、その内容自体は、特にコメントにも値しないんじゃないかと思われます。
そこにあるのは、ただひたすら混乱とナンセンス。ゆるい話がますますゆるく、限りなく退屈であります。
もちろん「混乱とナンセンス」というのは、テリー・ギリアムの個性そのものとも言えるのですが、これまでの金字塔、『未来世紀ブラジル』『フィッシャー・キング』『12モンキーズ』などとは比べるべくもありません。思えば、『Dr.パルナサスの鏡』あたりから、監督としての力量は目立って落ちて来ていましたね・・・。
「おまえ79歳の巨匠になに期待してんだよ」「新作が拝めるだけでもありがたいと思え」という声が聞こえて来そうですが、まさに、彼も歳をとってしまったんですね・・・。
なにしろ、19年間の間に8回映画化に挑戦してその都度失敗した「映画史に刻まれる呪われた企画」とも言われる本作ですが、結局、テリー・ギリアムにまとめる力がもう残ってなかったってことなんでしょうね。
わずかに救いは、ドンキホーテに引きずり回される若手映画監督を怪演する、近年注目のアダム・ドライバーと、『2人の教皇』でも圧倒的名演をみせたジョナサン・プライスの存在でしょうか。
特にわたしが残念だったのは、作品の最後になっていよいよドタバタになり、テリー・ギリアムの「お得意」とも言える巨人たちのスローモーション映像が出て来たとき、「結局、最後の盛り上がりはこれかよ」というところでもありました・・・。
とにかく、わが愛するテリー・ギリアム監督よ、心より「お疲れまさでした」!
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