「5大プログレ」と、言われたりしますが、その中であえて順番をつけると、久我としては次のようになります:
1:ジェネシス(ピーター・ガブリエル期限定!)
2:イエス
3:エマーソン、レイク & パーマー
4:キング・クリムゾン
5:ピンク・フロイド
ピンク・フロイドが最下位なのは、やっぱり、その「演奏力」がどうしても許せないのと、「結局、ただのブルース?」という想いもあり・・・。
そして、キング・クリムゾン。
クリムゾンといえばロバート・フリップなわけですが、実は、久我は、そのフリップにずっと「違和感」を感じ続けてきたと言いましょうか・・・(コアなクリムゾン・ファンの方々には怒られちゃいますけど・・・)。
その「違和感」の原点は、あの衝撃の1969年のデビュー・アルバム「クリムゾン・キングの宮殿」にあります。
「宮殿」の、ロック史上における重要性は今さら繰りかえすまでもありません(もっとも、ビートルズの「アビイ・ロード」をトップから引きずり下ろしたというエピソードは事実じゃないらしいですけれど・・・)。
アルバムのラストを飾るのは、言わずと知れた『クリムゾン・キングの宮殿 (The Court of the Crimson King)』(このYouTube、なぜか4分51秒で突然切れちゃいます。いくら探しても、このバージョンしかなかったの。どうもすいません・・・):
このドラマチックな楽曲を、作詞家ピート・シンフィールドとともに作曲したのは、イアン・マクドナルド。メロトロンやフルートなど各種楽器を担当し、大活躍なのもマクドナルドです。
特に、メロトロンは、プログレシブ・ロックの「シンボル的な楽器」として、多くのバンドに採用されましたが、ここまで大胆に、壮大に導入されたのは、ほかにあまりないでしょう。クリムゾンにとって、決定的に重要な「メロトロン」を弾きこなしたのは、まちがいなくイアン・マクドナルドです。
アルバム全体をつうじ、彼の貢献は明らかでですが、一方、ロバート・フリップの存在感は、それほど大きくないと言わざるを得ません。
つまり、そのデビュー当時、キング・クリムゾンの音楽的なリーダーは、まちがいなくイアン・マクドナルドだったというのは、もはや定説と言っても良いですよね。
しかし、イアン・マクドナルドは、このアルバム一枚こっきりで脱退(なので、久我はむしろマクドナルド & ジャイルズを追いかけて・・・)。
一方、ロバート・フリップは、着々と、クリムゾン独裁体制の構築へ。
このへんの事情には詳しくないのですが、これは、やっぱり、フリップによるバンドの「乗っ取り(クーデター)」だったのでは?。
でも、フリップ主導による新生キング・クリムゾンの道のりは、決して楽なものではありませんでした。
1970年のセカンド・アルバム「ポセイドンのめざめ」は、前作の焼き直し。続く「リザード」は実験作。さらに翌年の「アイランズ」は、「行きづまり」と「あきらめ感」すら感じられると言ったら、言いすぎでしょうか?
そこで1972年7月、ロバート・フリップはキング・クリムゾンを一旦解散し、「新生キング・クリムゾン」を結成しなおします。
新メンバーは、ビル・ブラッフォード、ジョン・ウェットン、デヴィッド・クロス、ジェイミー・ミューア、そしてロバート・フリップ(いわゆる「第3期キング・クリムゾン」)。
これは強力でした!
1973年に発表されたアルバム「太陽と戦慄 (Larks’ Tongues in Aspic)」は、即興演奏を全面に押し出しながら、静と動が緩急自在にからみあう、画期的な新境地を切り開きました。
1974年に次作、「暗黒の世界 (Starless and Bible Black)」を発表。
そしてたどりついたのが、「レッド」です。
緊張感の高いバンド活動がいよいよ沸点に達し、もう崩壊への道しかない。メンバーもフリップ、ブラッフォード、ウェットンの、たった3人になってしまった。
まさに「第3期」の終わりを告げるこのアルバム。
しかし、これは、とてつもなかった!
冒頭をかざるのはこの曲、文字どおり、『レッド』!
ロバート・フリップのひたすら歪むギター、ビル・ブラッフォードのパワーと技術が炸裂するドラム、そしてジョン・ウエットンの大地を縫うベース。情念の塊のような音像が、「雄たけび」をあげながら、すべてをなぎ倒して、のし歩いていく。
これは、まさに三人でできることの限界でしょう。
すなわち「レッド・ゾーン」・・・。
ここに、ロバート・フリップの志向する、「プログ・メタルの世界」が完成をみました。
さて、レッドをもって再度崩壊したフリップのクリムゾンは、1981年、ビル・ブラッフォードだけを残し、トニー・レヴィン、エイドリアン・ブリューを入れて、再結成されます。
新アルバムのタイトル「ディシプリン」が示すように、今度のキング・クリムゾンは、まさに「鍛錬」を具現化。緻密で技巧的とでも言いましょうか。
そこに、エイドリアン・ブリューの、ややユーモラスなボーカルが乗っかるという新しいスタイルでした(久我は、個人的には決して好きになれなかったんですけど、この第四期クリムゾンは・・・)。
1982年当時のライブ映像をとらえたのがこちら:
そして、その後もロバート・フリップのクリムゾンは、たび重なるメンバーチェンジや解散・再結成を繰り返しながら、現在まで続いております。
フリップのフリップによるフリップのためのバンドと化したキング・クリムゾン。
ということで、久我としては、やや屈折した思いも感じつつ、その偉大さについては疑問の余地なし、といたしましょう!(それにしても、いくら買っても次から次に出てくるクリムゾンのアーカイブもの。フリップの「錬金術」にほとほと嫌気さしてるのも、「屈折した思い」の一因かも????)
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