今こそ、副島隆彦の主著『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』を読もう

今世界で起こっていること、特にアメリカについて本当のことを理解しようと思ったら、この本を読まなければなりません。

副島隆彦の『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち(講談社+α文庫)』です。

副島隆彦先生は、「孤高の政治学者、経済評論家」として、その、時としてエキセントリックな言動もあってか、「陰謀論者」に分類され、日本の中央マスコミなどからは遠ざけられる存在となっています。しかし、その世界情勢を見通す眼力は空前絶後と言って良く、何よりも2016年、アメリカ大統領選において世界の誰も考えもしなかった「トランプ当選」を予想的中させたということでそれは証明済みです。

副島先生の研究、特にアメリカ合衆国の政治体制についての研究は実に奥が深く、建国時のアメリカは当然のこと、遠く中世・古代の世界史まで遡る壮大なものですが、先生自らが「二つの主著の一冊」と断言されるこの『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』に、先生の洞察の源流がすべて詰まっていると言えます(もう一冊は属国日本論)。

この本は、1995年に発刊された比較的古い本ですが、その後文庫化され、現在も入手できます。(副島隆彦『世界覇権国アメリカを動かす政治家と知識人たち』はAmazon

覇権国アメリカを動かす政治家と知識人400人を徹底分析し、現代アメリカ合衆国の政治の内側を詳しくとらえた一冊」という内容で、民主党共和党グローバリスト反グローバリストといった対立軸をもとに、主要人物を次から次に登場させダイナミックに説明を加えることで、読者の頭に、自然にアメリカの政治構造の核心が入ってくることになります。

登場する人物は、もう30年近く前の本ですので、それなりに古いのはやむを得ませんが、当時のビル・クリントン政権を中心に、ブッシュレーガンからケネディまで当然にさかのぼり、それら大統領を支える存在としてキッシンジャー、またミルトン・フリードマンガルブレイスらの学者、さらにロックフェラーら経済界の大物まで、著名人が続々と出てきます。

また、さらにその根本思想として「自然法」と「自然権」の対立を明らかにするため、ジョン・ロックからルソー、果てはアリストテレスまで、その宗教・哲学論争まで遡るんですから、先生の研究は本当に徹底しています。

特に重要なのは、「リバータリアン」の概念で、その思想の核心は「福祉国家なんか要らない」「税金を払う必要はない」「自分とその家族は自分で守る」ということと喝破。ドナルド・トランプの唱える「アメリカ・ファースト」の根本原理でもあり、いかに現民主党の政治と対立するのかが、これ以上ないほど明らかになります。

さらに「ネオコン」、「妊娠中絶」、「人種差別」などなど、現代のアメリカ政治の根本とも言える大きなテーマにも論考が加えられ、思考の基本的なフレームワークが整理されるので、より今日的な、「ウクライナ戦争」、「コロナ禍」、「地球環境問題」、「LGBT」、「マスメディアと情報」から「選挙制度」といったトピックの対立構造やその背景、議論の方向などもしっかり理解できます。

このような書籍は、他に日本には存在しません。遠回りかもしれませんが、読まれた方にとって必ず大きな背骨のような知識として、その世界理解を助けてくれることでしょう。

心から推薦致します。

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