ロスレス・ハイレゾ音楽配信:アップルとアマゾンどっちが良い?

アップルとアマゾンが、ほぼ同時期にスタートさせた「ロスレス音楽配信サービス」。

早速、両方に加入し、可能な限り比較検討してみました。

特に、その「ハイレゾ配信」のところにフォーカスして比較したのですが、その結論は?

ズバリ、圧倒的に、アマゾンの勝ちであります!

 

さて、その勝敗を語る前に、

まず、筆者のリスニング事情について説明させてください。

実は久我は、既に14万曲を超える楽曲ファイルを、ロスレスで保有してしまっております。

すべてALAC形式(Apple Lossless Audio Codec)で、16ビット/44.1kHzのCD音質を確保。AACMP3など非可逆圧縮の音源は、ほとんど保有しておりません(それでなければ入手できないアルバム等を除いて)。そして、これらすべてをiTunes(現在はMusicアプリ)で管理し、iPhoneやその他の端末に、適宜プレイリストでシェアしながら聞くというスタイルなんです。

尚、日常、ストリーミング・サービスはほとんど利用しておりませんでした。

なので、今回、アップルやアマゾンの発表した「ロスレス化」の部分、つまり「非圧縮でいよいよCD並みの音質に!」というところは、既に自分で実現してしまっているので、まったく関心がなかったんです。

関心があるのは、その「ハイレゾ配信」の部分です。

ハイレゾについては、もちろん以前より関心を持ち、複数のハイレゾ配信事業者からファイルを購入したり、SACDDVDオーディオなどを入手したりしました。ただ、そのコスト・パフォーマンスがあまりにも悪いのと、ファイル容量が大きすぎること、さらに、それを聞くときの使い勝手が悪いことなどから、今まで長らく敬遠していました。

そもそも、CDに比べて、ハイレゾ音源の音質にそれほど大きな違いが感じられず、むしろ「5.1チャンネル」といったギミックばかりが強調されているようで、そういう意味からも遠ざけていたんです。

しかしそれが、毎月定額で聴き放題になるっていうんだから、そりゃ注目せざるを得ないですよね。

さて、事前の語りが長くなってしまい、申し訳ありません。

アップルとアマゾンの違いを述べる前に、まず、両者に共通するポイントを整理してみましょう;

  • どちらも7500万曲を超える楽曲をすべてロスレス化し、CD音質(16ビット/44.1 kHz)以上に引き上げた
  • その内、どちらも少なくとも700万曲程度以上は、CDを超える音質ということでハイレゾ化(最大24ビット/192kHz)を実現した
  • どちらも月極めの定額方式で、聞き放題(アップルは980円、アマゾンも同額、ただしハイレゾは1980円)
  • どちらも、ストリーミングとともに、ファイルをダウンロードすることも可能(ただ、ことさらダウンロードしなくても、どちらもストリーミングで途切れることなく、外出先でも支障なく聞くことができています。通信料が心配ですけれど!)

 

ということで、やはり、画期的なできごとであるのはまちがいないです。

Spotifyも近く追随するらしいので、これが今後、音楽リスニングの基本スタイルになるのでしょう。

それにしても、既存の音楽ストリーミング業者、特にハイレゾ配信を行なっていたところ(e-onkyoミュージックなど)にとっては大打撃でしょうね・・・(なにしろ高かったし)。

さてそこで、筆者の感じる、アップルのロスレス・ハイレゾ配信の「問題点」を列挙します:

  • 最大の問題は、異なる端末(例えば、iPhone、iPad、Macなど)の間でiCloudを通じ共有化するのですが、その際、既存のライブラリーやプレイリストと共存させるのが難しい、というかできないんです(これについては「前回の報告」にも記載しました)
  • 多くの楽曲の中から、「ハイレゾ」の曲を探すのが面倒くさい
  • 各楽曲のハイレゾの情報(16bitか24bitか、あるいは48Khzか96khz なのか)が全く分からない

要するに、使い勝手がとっても悪いんです!

これはアップルが、「ハードウェアから入り、iCloudを通じ、顧客を丸ごとその環境に取り込んでしまう」という経営思想を持っているからだと思われるのですが・・・。特に筆者のように、14万曲の既存の楽曲も聴きながら、新たにハイレゾも楽しみたいというリスナーにとっては、アップルの方式だと非常に困ってしまうんです。

これに対し、アマゾンの音楽配信は、ある意味単純なクラウド・サービスなので、どんな端末でも簡単にアクセスできます(アップルのMusicアプリとは、当然に全く関係がないので、これはこれで独立して、以前のとおり自由に聞くことができます)。

さらにアマゾンは、すべてのアルバムと楽曲に、ハイレゾの場合は「Ultra HD」という印がついているので、とっても分かりやすいんです。

また、これが一番素晴らしいのですが、どの楽曲も、左図のとおり、FLACなどのハイレゾ・ファイルの種類、及びスペック(ビット数や周波数)が明示されており、おまけに、現在聴取している端末側の性能(ハイレゾ対応のレベル)も掲載してくれるので、非常に便利なんです。

 

以上なのですが、いかがでしょうか?

 

さて、その他については、今のところ大きな違いは見出しておりません。

ハイレゾのファイル自体は、両社とも同じものを外部から調達しているようですので(ハイレゾ対応のアルバムがほぼ同じということでも分かる)、音質等に違いはないようです。

ただ、アマゾンは、音源のビット数またはサンプリング周波数の「どちらか一方だけ」でもCD(16ビット/44.1 kHz)を上回る場合「Ultra HD」、つまりハイレゾと分類するのに対し、アップルはビット数、周波数の両方とも24ビット/48kHz以上と、CDを上回らない限りハイレゾと呼んでいないようなんです。なので、アップルの方が、同じアーティストの作品でも「ハイレゾ対応」の数が少ないように思えます。

これも筆者にとってはアマゾンの方がありがたいです。

というのは、例えばある音源が24ビットだけれどもサンプリング周波数はCD並み(44.1kHz)といったケースがあるのですが、それでも、音質改善の効果は大きいので、これはぜひ「ハイレゾ」として分類したい、ってことなんですね。

最後に、今回あらためてハイレゾ音源をじっくり聞くことになったんですけれど、今さらながら、CDなどと比べ、ハイレゾ音源の音質って「素晴らしいな」と感じ入りました。特に24ビット化の効果が大きいと思われるのですが、音楽のきめ細かさ、例えば高音成分のキレ味、リバーブ残響成分の繊細さ、サウンド・ステージ(音場)の広大さ豊かさなどなど。もう今後は、ハイレゾ以外には戻れなくなってしまいそうなほどです・・・。

尚、ハイレゾのファイルをダウンロードもできるとはいえ、これは、ストリーミングのように音楽が途切れたりしないよう、事前に端末側にファイルを置いておく、という目的だけですので、実際にFLACなどハイレゾ・ファイル自体を所有できるわけではなく、ファイルを移動して別の機器で聞くなんてこともできません。やっぱり「音楽を自分で保有したい!」という、筆者のような「古い世代」にとっては、どこまでも少し「残念」な感じが残ることも追記しておきます(それでも、もう7800曲もダウンロードし、600GB以上のハードディスク・スペースを使ってしまいました!)

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