ホーム > サイエンス系, サイモン・シン, 読書 > サイモン・シンの「宇宙創成」

サイモン・シンの「宇宙創成」

2010 年 1 月 31 日 コメントをどうぞ コメント

simon-singh最新作「代替医療のトリック」が出たばかりのサイモン・シン。その腕前は、「フェルマーの最終定理」で証明済みです。

で、その新作が届く前に、まだ読んでなかった「宇宙創成」を読みました。

すでに読まれた方も多いと思いますが、これは2006年、「ビッグバン宇宙論」という書名で出版された単行本の文庫化で、原題もずばり「BIG BANG」。つまり、宇宙創成そのものである「ビッグバン」について真正面から取り組んだ本です。

訳者もコメントしていますが、「ビッグバンもの」はもう世の中にあふれているのに、「何で今ごろ?」というのが第一印象。古くはホーキング博士からたくさんあって、一般の間でも「宇宙って、大昔に爆発してできたんだ」ってことだけは、だいたい浸透しています。

そういう感覚でこの「宇宙創成」を読み進めると、最初は確かに戸惑います。大昔にさかのぼり、名前を聞いたこともないような科学者たちの「宇宙の謎」への奮闘の歴史が続きます。

でも、それぞれのエピソードがものすごく興味深いんです。

例えば、異なる学説どおしの「血みどろ」の戦い。宇宙は「大昔から常にあったのか」、あるいは「ある時点からスタートしたのか」。その根本的な問い掛けは、以前は五分五分。というか「常にあった派」が優勢だったこともあったと。まるで「天動説」と「地動説」の対立のようです。

それぞれの学派の「証拠集めへの格闘」がまたすごい。その証拠で、「ビッグバン説」がはっきり証明されたという事実にも正直驚きました。でんど~は、ビッグバンと言っても、それはSFのようなもので、「宇宙の始まりは恐らくそういうもんだろう」程度の概念と思い込んでいたのですが、ここまで厳密な実証の過程を経たものであったとは・・・。

さらに、「世界には始まりがあった」という説は、当然にキリスト教の「創世記」を思い起こすということで、猛烈な宗教論争も避けられません。このへん、客観的学問の極地であるはずの「科学」と、スピリチュアルそのものの「宗教」とが正面から対峙している。日本では考えられない議論のあり方にも想い至りました。

ということで、この本はビッグバンそのものというより、それを題材にして「人類の英知への道のり」を解き明かすことに重点を置いたものなんだ、ということが良く分かります。「科学史」をうんと分かりやすく、万人に提供すると同時に、ニュートンアインシュタインといった誰でも知ってる科学者の光り輝く業績の影に、何十、何百という名も知れぬ科学者たちの「地と汗と涙」が眠っているんだと。

そういう意味で、著者サイモン・シンの力量は、「フェルマーの最終定理」に続き。今回も充分証明されました。

さらに評判の高い「暗号解読」も読まないといけません。「代替医療のトリック」も早く届かないかな。


「宇宙創成 (新潮文庫)」はAmazonでお求めいただけます

最新刊「代替医療のトリック」はこちら


  1. コメントはまだありません。
  1. トラックバックはまだありません。