デジャ・ヴ / クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング

csny_deja_vuクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(CSN&Y)は日本でも大人気でした。

あちこちの学校に、たくさんのコピー・バンドが生まれたものです。「学生街の喫茶店」のGAROもそんな流れでしたね。

かく言うわたくしもそんな一人で、変則ギターを一生懸命練習して、みんなでハモろうとしたのを想い出します。

デイヴィッド・クロスビー(元バーズ)、スティーヴン・スティルス(元バッファロー・スプリング・フィールド)、グラハム・ナッシュ(元ホリーズ)の3人により、クロスビー・スティルス & ナッシュは結成され、1969年、グループ名を冠したデビュー・アルバムが発表されました。

アコースティック・ギターを中心にした、フォーク・ロック的なアプローチを、特別なものにしたのが彼らのコーラスでした。

主旋律にハモリを入れる通常のアプローチではなく、最初から最後まで3部のハモリが一体となり、洗練した和声をかもし出すというユニークなもの。特に「組曲:青い目のジュディ」は、変則チューニング・ギターと完璧なコーラス・ワークという、彼らの個性が凝縮された画期的ナンバーでした。同アルバムは全米6位。400万枚以上を売り上げ、グラミー賞最優秀新人にも輝きました。

鮮烈なデビューを飾った彼らが、ニール・ヤングを加え、真のスーパー・グループとなったのがCSN&Yです。

ヤングという強力なソング・ライターが加わったことにより、楽曲の幅が広がるとともに、ライブではスティーヴン・スティルスとのエレクトリック・ギターの二枚看板で、エキサイティングなステージを繰り広げました。

1969年発表のセカンド・アルバム「デジャ・ヴ」は、予約だけで200万枚に達し、全米1位。700万枚以上を売り上げており、彼らの人気がいかにすごかったか分かります。

同年開催された歴史的ロック・フェスティバル「ウッド・ストック」でも、彼らのパフォーマンスはハイライトとなり、同アルバムからジョニ・ミッチェル作の「ウッドストック」がシングル・リリースされました(全米11位)。

このアルバムは、4人のメンバーが2曲づつ提供するという民主的な取り組みで、非常にバラエティーに富んだ中身の濃い作品となっています。

デイヴィッド・クロスビーは、「カット・マイ・ヘア」と、アルバム・タイトル曲の「デジャ・ヴ」を提供。後者は、摩訶不思議な導入部から幻想的な展開をみせる極めてユニークなナンバーで、ほとんどプログレと言ってもいいような世界。このグループの「ふところの深さ」をまさに体現しています。ぜひ、お聞きください:

一方、ポップでやさしいグラハム・ナッシュの個性は対照的。「ティーチ・ユア・チルドレン」と「アワー・ハウス」は、とても親しみやすいポップなナンバーで、それぞれ全米16位、30位のシングル・ヒットとなりました。

スティーヴン・スティルスは「キャリー・オン」と「4+20」を提供。アルバム全体のプロデューサー的役割も果たし、4人バラバラのソロ作品の寄せ集めとなってしまうところを奇跡的にとりまとめられたのは、彼の音楽的力量によるところが大きかったと思います。

そして、ニール・ヤングは「ヘルプレス」と「カントリー・ガール」。特に後者は、アルバムのベスト・トラックとも言える組曲形式の大作で、教会のパイプ・オルガンのようなサウンドの上をドラマチックなコーラスが展開するサビの部分は、まさに鳥肌モノの感動を覚えます。これはぜひ聞いて下さい:

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個性豊かなこの4人。その後1971年、記念碑的なライブ・アルバム「4ウエイ・ストリート」をリリースしてからバラバラになってしまったのもやむを得ないでしょう。ニール・ヤング以外の3人は、その後もCSNとして仲良くアルバムを制作したり、「クロスビー&ナッシュ」のコンビでやったりしました。

再びCSN&Yの4人として結集するのは、1988年の「アメリカン・ドリーム」。しかし、そこにはかつての輝きはありません。さらにビッグになったニール・ヤングをお招きして、特別に出番を作ってあげたような雰囲気。4人の共同作業というよりも勝手にソロを集めた感じです。さらに10年後、「ルッキング・フォーワード」というアルバムでも4人は再会しますが、そこに「化学反応」は存在せず、もう完全に終わってしまったのだと言えましょう。

 

さて、ということで、デジャ・ヴに加えて、やっぱりこれらの作品も聴いていただきたいです:

csnクロスビー・スティルス & ナッシュ Crosby, Stills & Nash
アコースティックな統一感がすばらしく、「デジャ・ヴ」と甲乙つけがたいです。特に活躍するのがスティーヴン・スティルス。多くの人にとっての「忘れがたい青春の一枚」なんだろうと思います。

 

 

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4way4ウェイ・ストリート  4 Way Street
2枚組みのライブ・アルバムで、1枚めはアコースティック、2枚めはエレクトリックということで、全盛期のCSN&Yのすべてをとらえた傑作です。全米1位。400万枚以上も売れました。

 

 

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stillsスティーヴン・スティルス Stephen Stills
「デジャ・ヴ」から半年後、スティルス渾身のソロ・アルバムが発表されました。ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、リンゴ・スターなどキラ星のようなゲストをむかえ、ラテン、ゴスペル、ソウルなどスティルスの幅広い音楽性が開花した大傑作です。全米3位。ゴールド・アルバム認定。
 
 
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