J_vign_v_fixAOR時代のギター界の大御所として、はたまた、アル・ジャロウやマンハッタン・トランスファーらを手掛けたプロデューサーとして、一時代を築いたジェイ・グレイドン。

最近は、ちょっと表舞台から遠ざかっているようですが・・・。

ともに同じ道を歩んだデヴィッド・フォスターが、プロデューサーとしての地位を極め、世界に君臨しているのに比べ、ジェイ・グレイドンの現在置かれている状況はやや残念な感じもします。

しかし、彼の残した作品の数々は、今も燦然と輝き続けているんです!

それでは、まず、ギタリストとしてのジェイ・グレイドンについて。

70年代から80年代にかけて、ジェイ・グレイドンは、西海岸のレコーディング・セッションには欠かせない超売れっ子スタジオ・ミュージシャンでした。

「ソロ」・グレイドンというニック・ネームもあるほどで、ここ一番、最高にクールなギター・ソロをしっかりと決めてくれる。ジェイ・グレイドンは、まさにプロ中のプロとして、頼りになるトップ・ギタリストでした。

中でも伝説となっているのが、スティーリー・ダンのアルバム「彩 (Aja)」における「ペグ 」です。

スティーリー・ダンの二人(ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカー)が、10人以上のギタリストを次から次にスタジオに呼びつけて演奏させても、どうしてもギター・ソロが決まらない。そして、最後に呼び込まれたのがジェイ・グレイドン。そんなジェイが、淡々とプレイし、短時間にOKテイクをバッチリ決めてしまったという逸話はあまりにも有名です。

それでは、その「伝説のプレイ」をお聞き下さい:

1979年にリリースされたスティーヴ・キプナーのソロ・アルバムは、ジェイ・グレイドンが初めてプロデュースを手掛けた作品としても有名ですが、その最後を飾る曲「エンディング」で炸裂するギター・ソロは、まさに空前絶後です。

ハーモナイザーを使ったオーバー・ドライブの効いた太い音色。決してそれほど早弾きではないものの、考え抜かれたフレージング。粘り気たっぷりにネチネチと、グイグイ引っ張ってたどりつくカタルシス・・・。ひょっとして、古今東西のあらゆるギター・ソロの中でも史上最高峰ではないかと思われるこの一品をぜひ聞いてください:

 

ジェイ・グレイドンは、プロデューサーとしても、確固たる地位を築きました。

そのプロデュースの特徴は、ポップでジャズ寄りの立ち位置、完璧主義者としての緻密なアレンジと録音技術、そして、ここぞという時に繰り出される伝家の宝刀、自らのギター・ソロが売り物でした。

アル・ジャロウは、驚異的なヴォーカル・テクニックを持つ、知る人ぞ知るというマニア向けのジャズ・アーティストだったのですが、ジェイ・グレイドンは、AOR/フュージョンの本格的な舞台を用意することで、アル・ジャロウのステイタスを国際的な大スターに引き上げることに成功しました。

1983年のアルバム『ジャロウ』は、全米ジャズ・チャート1位、売り上げ100万枚突破、グラミー賞「最優秀プロデューサー賞」ノミネート。冒頭の『モーニン』は、シングル・カットされ全米21位のヒットに。ジェイ・グレイドンはプロデュースのみならず、作曲・編曲・ギターと大活躍で、この感動的な曲を盛り上げます:

  • ジェイ・グレイドンのプロデュースしたアル・ジャロウのアルバムは4作。すべてAmazonでお求めいただけます:

ジャズ・コーラスの実力派マンハッタン・トランスファーをポップ・スターに変身させたのもジェイ・グレイドンです。1979年のアルバム『エクステンションズ』はゴールド・アルバム受賞、グラミー賞ノミネート。バラエティに富んだゴージャスな曲の数々が勢ぞろいする傑作アルバムになりました。

『トワイライト・ゾーン/トワイライト・トーン』は、ユーモアあふれるSFチックなアレンジが楽しい一品です。ジェイ・グレイドンの必殺ギター・ソロも聴きどころ!:

そして、最後はやっぱりエアプレイで締めくくりましょう。

デヴィッド・フォスターとの双頭バンドとして、1980年に発表された唯一のアルバム『ロマンティック』。お互いに超売れっ子スタジオ・ミュージシャンとして、数々のセッションで顔を合わせる二人がガッチリ手を組んで、AORの傑作を生み出しました。曲は『ストランデッド』:

その後、プロデューサーとしても、同じようなスタートを切った二人でしたが、デヴィッド・フォスターが、AORという枠を完全に乗り越えて、セリーヌ・ディオンからアンドレア・ボチェッリまで、メガ・ヒットを次々に飛ばし、巨匠の地位を確立して行ったのに比べると、ジェイ・グレイドンの成功は、あくまでジャズ/AORの分野に閉じていた感がありました。

最近では、ジェイ・グレイドンの手掛けるプロデュース作品もギター参加作品もあまり聞かれなくなり、とても寂しい思いがいたします・・・。

しかし筆者は、ちょっと世渡り下手でも、自分の理想に意固地にこだわるジェイ・グレイドンが大好きなんです。史上最高のソロ・ギタリストの一人としても、ジェイ・グレイドンの生み出した作品群は永遠に不滅です。今後も聞き続け、語り続けて参りましょう!

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