the-kick-inside-4e1d7ec789b25「お嬢様」とか「魔女」とか「妖精」とか言われたケイト・ブッシュ。

デビューは1978年。

ピンク・フロイドのデイブ・ギルモアのサポートで発表されたのが、ファースト・アルバム「天使と小悪魔」です。

ギルモアは、2曲でエグゼクティブ・プロデューサーもかって出たということで、ケイト・ブッシュが世に出るにあたり、彼の並々ならぬサポートがあったのが分かります。

このアルバムからのファースト・シングルが「嵐が丘」。さんまの「恋のから騒ぎ」のオープニングで使われていたので、皆さまよくご存知ですよね?

この曲は、そう、英文学の金字塔。あの、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」をモチーフにしています。

寒風吹きすさぶヨークシャーの丘にそびえる屋敷を舞台に、世代を超えた情念と悲劇的な恋の物語が展開する。

ケイト・ブッシュは、主人公キャシーに乗り移り、永遠の恋人ヒースクリフを求めます:

風の吹きすさぶ荒れ野で 私たちはもつれ合って草の上に倒れたわ
あなたの気性と私の嫉妬心は激しすぎて貪欲すぎたわ
なぜ私を捨てたの?
あなたを私だけのものにしたかったのに・・・・
あなたを憎んだわ 、そしてとても愛していたわ
悪い夢を見たの 私は恋の戦いに敗れたって彼らはいっても
私の嵐が丘 あの嵐が丘にすべてを残して・・・・

ヒースクリフ 私よ キャシーが帰ってきたわ
とても寒いの 窓を開けて私を中に入れて
あなたのいないこの世界はとても暗いわ とても寂しいの
あなたに恋焦がれて でもついに敗れてしまったのね でもきっと戻ってくるわ

冷たいヒースクリフ 私のただひとつの夢
ただ一人の征服者長い事ひとりでさまよっていたの
でもあの人の世界に戻るのよ
あの嵐が丘 私の嵐が丘に帰っていくの・・・

196011_438999872810446_1858423515_aケイトの歌声は、時にあやしく、時にやさしく変幻自在。その、猫のようにエキセントリックな歌声は、一度聴いたら、決して忘れられません。

限りなく繊細に紡がれた音造り。上品なピアノを基調としながらも、タイトなドラムとベースがしっかりサポート。変則拍子のサビをストリングスがつつみながら、流麗なファンタジーの世界が広がっていきます。

実はファースト・シングルは、レコード会社の意向で、当初「嵐が丘」ではなく、もっとロック的な「ジェイムズ・アンド・コールド・ガン」の予定だったのですが、ケイトが「嵐が丘」とすることを主張。ジャケットのデザインにも文句をつけたため、販売延期してしまったそうです。

二十歳の小娘のくせに、この妥協を許さない完璧主義者!

そのほか、奇怪なイントロから始まり、さながら絵画のようなたたずまいを見せる「Moving」。ケイトが凧になって飛んで行ってしまう「風に舞う羽根のように/Kite」。声の七変化「ローリング・ザ・ボール」などなど。少女から女へ、多感な感性が研ぎすまされて、ケイト・ブッシュの個性は、既にデビューの時点で確立していたんです。

英国で3位。ただ、アメリカでは148位ということで、ケイトの成功は、まだあくまでも英国的な現象でした。

 

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553709_438999936143773_1203621008_aケイトブッシュは、その後も「ライオンハート」、「魔物語」、「ドリーミング」と、個性的なファンタジー路線のアルバムを発表し、多くのファンを獲得すると共に、彼女の謎めいたイメージもいよいよ固まっていきました。

確かに、全盛期のケイトは本当に怪しく、美しく、セクシーでした。

まさに「小悪魔」的。

コンサートもほとんど開かず、プライベートの情報も限られる中で、「こうもり」になって飛んでる写真や、奇抜な衣装のプロモ・ビデオが出たりして、ますます「怪しい」イメージが確立します。

そんなケイト・ブッシュの貴重なライブ映像をとらえたのがコレ。今まで一回こっきり、1979年に催されたライブ・ツアーの貴重な映像をとらえた、ハマースミス・オデオンでのステージ模様です。

曲は「ジェイムズ・アンド・コールド・ガン」。ケイトはこんなにワイルドにもなっちゃったんだから!

その後色々な噂も流れ、ケイト・ブッシュは「精神病院に入った」だの、「快楽主義で、ドラックもやっている」だの言われる一方、「女性を表現するアーティスト」といったフェミニスト的なとらえかたもされるようになりました。

他人と競演したのも、ピーター・ガブリエルの「Don’t Give Up」ぐらいと、非常に限られています。

399596_438999966143770_309471268_aそんなケイト・ブッシュの独特な創作活動は、1985年の「愛のかたち Hounds Of Love」でピークを迎えます。英国で1位、米国でも30位とチャート的にも大成功。さまざまなランキングでも「歴史的アルバム」と評価されています。例えば:

  • 英Q Magazine(2003年)「Greatest Albums Ever」 51位
  • 英Mojo Magazine(1995年)「Greatest Albums Ever Made」 60位
  • 英ギネス「All Time Top 1000 Albums(1994年)」 228位

ちなみに筆者は、そんなケイト・ブッシュの世界的成功とは裏腹に、だんだん変化していく彼女の曲造りの傾向、リズムを強調しシンプルなコード進行で押してくるような変化に若干違和感があり、かつての繊細で品位あふれる曲造りをなつかしんだものでありました。

 

284958_439003096143457_1418386196_aさて、そんなケイト・ブッシュも、1958年7月30日生まれということで、55歳になってしまいました。

あのケイトが50過ぎ・・・。時の流れとは恐ろしいものです。

一時期は隠遁生活に近いときもあり、我々の目の前から遠く消え去っていたケイト・ブッシュ。何しろ1993年の「レッド・シューズ」以降は一切音沙汰なし。12年ぶりに「AERIAL(エアリアル)」が出たときはホントにびっくりしました。

さらにここへ来て、活動のレベルをまたアップさせて来ているようで、2011年には、セルフ・リメーク集「ディレクターズ・カット」をリリース。そして新作「50 Words For Snow(雪のための50の言葉)」も発表。一年に二作品出すなんて、以前では考えられないほどのペースです。

年を経て、ケイト・ブッシュの容姿も作品も変貌を遂げてきました・・・。でも、そんなこととは関係なく、永遠の妖精、小悪魔ケイトを、これからもずっと愛し続けていきたいと思います。

 

<<速報!>>

な、なんと、復活の気配著しいケイトブッシュが、ついに35年振りのコンサートへの復帰を発表致しました!

2014年8〜9月に掛けてロンドン、ハマースミス・アポロにて全15公演。これは衝撃のニュースです!!

小悪魔から大きく年月を経て、ケイト・ブッシュがどんなステージを魅せてくれるのか、とてつもなく楽しみでもあり少々恐ろしくもあり、大いに盛り上がりますね!

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