gentle_giant-free-handジェントル・ジャイアントは、一般の知名度はものすごく低いんですが、いわゆる5大プログレに次ぐ、堂々たる存在だと思います。

プログレッシブ・ロック界のランキングを勝手に認定すると、こんな感じでしょうか:

1位:ジェネシスピーター・ガブリエル在籍時限定)
2位:イエスビル・ブラッフォード在籍時限定)
3位:ピンク・フロイド
4位:エマーソン、レイク&パーマー
5位:キング・クリムゾン
6位:フォーカス
7位:P.F.M.
8位:ジェントル・ジャイアント
9位:U.K.
10位:イット・バイツ

ジェントル・ジャイアントの魅力を要約すると:

  • 妥協を知らない音楽性の追求。
  • メンバー全員のものすごい演奏力。管楽器、弦楽器、打楽器、ヴォーカルを巧みにこなし、ライブでパートをとっかえひっかえ合奏・合唱するさまは曲芸のよう。「音のスーパー・サーカス」とも言われる。
  • 中世ヨーロッパの宗教音楽をベースにしたような独特な世界感。ほかのプログレが、いわゆるクラシックの王道を下敷きにしたのと決定的に異なる。
  • メロトロンが壮大にコードを奏でるといった、プログレのお決まりパターンにはまらず、細かいパーツを組み上げて行くような独特な曲構成。ジャズやファンクにも通じるリズミカルな乗りから、嵐のような変拍子まで、これまた空前絶後。

ということで、ある種「変態的」とも言える強烈な個性です。ルックス的には、ぜんぜんイケてないし(ほとんど、中世の旅芸人)、ヴォーカルは気持ち悪いの一歩手前。拒絶反応が出ちゃうと、ちょっと苦しいかも・・・。

でも、一度ハマると、とことん行ってしまいます。でんど〜は完全にハマってしまいました。。。

彼らの仰天ステージを、少しのぞいてみましょう:

ジェントル・ジャイアントの活動期間は、1970年のデビューから約10年間。11枚のスタジオ・アルバムと1枚のオフィシャル・ライブを出したのですが、レーベルが複数にまたがる上、権利関係などが今ひとつはっきりしないようで、全作品を横断するリマスターの決定版は、残念ながらまだ存在していません。

今回は、中後期の7作品がリマスターされました。

発売元のAlucard Recordsは、創設メンバーのケリー・ミネアが興したレーベル。ホームページによると、「原盤権が自分たちに戻ってきたので、可能な限りオリジナル・マスターに忠実にリマスターし販売することにした」とのこと。ジャケットに「オリジナルの1/4インチ・マスター・テープから、24bit 96kHzでリマスター」と明記されており、力が入っているのが分かります。

実際に聴いたところでは、不必要な色づけの少ない非常に優れたリマスターと感じられます。「ビートルズのリマスターにも似た良心的な仕事」との評価も見受けます。2005年、創設メンバーのデレク・シャルマンのレーベルDRT Entertainmentが、この時期のアルバムを「35周年記念リマスター」として発表していますが、音質的には今回のAlucardの方がベターという評価のようです(ただし、今回ボーナス・トラックが一切なしというのは、ちょっとさびしい・・・)。

 

さて、まず何と言っても、1975年の「フリー・ハンド」。

全米アルバム・チャート48位と、ジェントル・ジャイアントとしては史上最高位。名実共に彼らの最高傑作と言えるでしょう。

この「フリー・ハンド」に、彼らの強烈な個性はすべて出そろっています。パズルを組み立てたような、複雑怪奇な曲構成。人間技を超えた楽器の演奏力とコーラス・ワーク。中世クラシック風味とビシバシ変拍子。ファンキーでちょっと不気味にポップ・・・。

これにピンとこなかったら、ジェントル・ジャイアントはパスして下さい。

もし気に入ったら、1977年の「プレイング・ザ・フール」。全米89位。彼らの最盛期をとらえたライブ盤で、代表曲は、すべて網羅されています。

ジェントル・ジャイアントの最高傑作「フリー・ハンド」のリマスターはこちらから

ジェントル・ジャイアントの悶絶ライヴ「プレイング・ザ・フール」はこちらから

1978年、ロンドンでの仰天ステージの全貌をとらえたDVDはこちらから

このジェントル・ジャイアントも、70年代後半に入ると苦難の道に入ります。

イエスなどのプログレが、ポップで聴きやすい方向に路線変更しつつ、それなりに生き残って行った中で、ジェントル・ジャイアントは、うまく変身できませんでした。アメリカのレーベル「クリサリス」に移籍して以降、作品としては76年の「インタヴュー」ぐらいから、どうもおかしくなっちゃいます。

慣れないポップをやらされて、のたうち回り苦しむジェントル・ジャイアント。

もともとが「中世の旅芸人」です。ポップになれるはずありません。急激に失速し、解散を余儀なくされてしまいました。

あわれ、ジェントル・ジャイアント。。。

生き残りのためとはいえ、魂を売り渡してしまっては存在意義はなくなってしまうのでしょう・・・。

最近になって、一部の旧メンバーが再結成し(「スリー・フレンズ」というバンド名)、古い曲を演ったりしているようです。ただ、中核メンバーのシャルマン兄弟が参加していないなど、なんとなく人間関係はうまく行ってなさそうな気がします。

それでは、Alucardによるリマスター7作品をまとめてご紹介します。

gentle-giant-octopus2ヴァーティゴ・レーベルの初期4作品と、1980年の「シビリアン」は今回のリマスター対象外ですが、過去にリマスターや紙ジャケが複数存在しています。

来月には、初期作品が日本で紙ジャケ・リイシューされるようですけれど、「日本人よる日本人のためだけの紙ジャケ・リマスターSHM-CD」に拒絶反応のあるでんど〜としましては、どうもおすすめしにくいです。また、独Repertoireの2004年前後のリマスターが比較的優秀なのですが、やや手に入りにくくなっているようです。

これらのアルバムもリスト・アップします。特に、1972年の「オクトパス」は、ジェントル・ジャイアントのコア・ファンの間では最高傑作とされる向きもあり、ぜひ聴いてみて欲しいです。

さあ、みなさんも、ジェントル・ジャイアントの孤高の世界に、どうぞハマってみて下さい!